星食

食と掩蔽

月が恒星の前を横切り、星が一瞬で消えます。恒星は点にしか見えないため、欠けていく途中がなく、明るいまま光が断たれます。

何が起きているか

月が地球のまわりを東へ動く途中で、通り道に入った恒星を隠す現象で、月による掩蔽の一つです。国立天文台暦計算室の「暦Wiki」は、月が星をおおい隠すものを星食として扱っています。恒星はあまりに遠く、どれほど明るくても点にしか見えないため、月の縁が届いた瞬間に光がまるごと断たれます。月は27.3日で天球を一周する速さで進み、その道すじの星が次々に隠されます。

いつ、どちらの空か

月が空に出ている夜に限られ、方角も時刻も月の位置で決まります。月は西から東へ動くので、満ちていく月では東側の暗い縁から星が消え、西側の明るい縁から出てきます。欠けていく月ではこの順が入れ替わります。月は地球に近く、見かけの位置が観測地ごとにずれるため、同じ食でも隠れる地域と隠れない地域に分かれます。地域別の予報は国立天文台「ほしぞら情報」が出しています。

目にはどう見えるか

消えるのは一瞬です。面積を持つ惑星食と違い、恒星は点なので、暗くなる途中がないまま、点いていた灯が切れるように光が止まります。暗い縁からの潜入は光っていない側で起こるので、双眼鏡でも消える瞬間を追えます。明るい縁からの出現は月の輝きのすぐ脇で起こり、位置をつかむのは難しくなります。月の縁の山と谷をかすめる接食では、星が数回またたきます。

見のがす条件

月のまわりの光に、暗い星は埋もれます。明るい縁の近くでは4等ほどの星でも背景に負け、隠れる瞬間が分かりません。現象そのものは数秒で終わるので、予報の時刻より数分遅れて見上げると、すでに終わっています。低い空では大気減光が重なって星がさらに暗くなり、薄い雲でも消えます。観測地が予報の帯から外れれば、月は星の脇を素通りします。

どのくらいの間隔で起きるか

暗い星の食は、月が27.3日で天球を一周するあいだに毎月起こっています。目立つのは黄道の近くにある1等星の食で、アルデバラン、レグルス、スピカ、アンタレスの四つに限られます。月の通り道は18.6年かけて傾きを変えるため、同じ星の食は数年続けて起こり、そのあと十数年途切れます。当たり年に入っているかどうかで、機会の数がまるで変わります。