アレキサンダーの暗帯

虹と水滴の光

探す位置: 太陽と反対の側

主虹と副虹にはさまれた空だけが、暗く沈みます。二つの弧の間へは、水滴から戻ってくる光がほとんど無いためです。

どう見えるか

帯そのものに色や輪郭はなく、周りより暗い空として見えます。気象庁『気象観測の手引き』は主にじについて「天空はにじの外側のほうが内側より暗い」と記しており、この暗さが帯の正体です。背景の雲が黒いほど境目がはっきりします。名は、アリストテレス『気象論』の注釈でこの暗さを書いたアフロディシアスのアレクサンドロスに由来します(リーとフレイザー 2001)。

空のどこを探すか(太陽からの角度・太陽高度)

主虹のすぐ外側から副虹の内側まで、視半径42度から50度までの帯です。副虹が出ていない日でも、主虹の外側が内側より暗いことは読み取れるので、弧をまたいだ明るさの段差を探します。太陽を背にした向きのまま、視線を弧の外へ動かせば足ります。太陽を直接見ないまま確かめられる、数少ない光の現象です。

なぜそこに出るか

水滴が光を返す向きに限りがあるためです。主虹をつくる光は水滴の中で約138度までしか曲がらず、副虹の光は逆に約230度以上曲げられます(リーとフレイザー 2001)。二つの限界にはさまれた方向へは1回反射でも2回反射でも光が戻らないので、そこだけ雨のカーテンが暗いまま残ります。暗いのは雲の影ではなく、返ってこない光の帯です。

似た現象との分け方

雨脚の濃淡や雲の影と紛れますが、境目が虹と同心の弧になるかどうかで分かれます。暗帯は主虹と平行な帯で、雲の影のように不定形の縁を持ちません。主虹の内側に見える細い縞は過剰虹で、そちらは明るさの段差ではなく色の縞です。暗帯は色を持たず、明るさだけが落ちる点で、どちらとも分かれます。

出ているとき空に何があるか

主虹が立つときと同じ、太陽と反対側に区切られた雨です。粒がそろって主虹が濃いほど外側との差が開き、帯として読み取れます。副虹まで見えていれば帯は両側を弧に囲まれ、副虹が淡い日は外側の境がぼやけます。雨脚が浅いと弧も帯も同時に薄れるため、帯の見え方はそのまま雨粒の量を映します。観察者は太陽を背にするので、太陽本体を直接見ないで済みます。