秘密保持義務

会社との関係

本業で知った情報を外へ出さない義務

どういう決まり?

本業で知った顧客情報や社内資料を、外に持ち出さない・使わない義務です。在職中も退職後も続くのが特徴で、入社時の誓約書や就業規則、個別の秘密保持契約で定められます。対象は秘密として管理されている情報が中心ですが、自分の頭の中にある手順や単価も含まれうる点が見落とされがちです。

何が問題になるか

本業の資料をひな形に流用する場面が、いちばんの落とし穴です。社内フォーマットをそのまま使う、事例として実名や具体的な数字を出す、これだけで違反になります。発覚すれば懲戒にとどまらず損害賠償を請求されることもあり、取引先を巻き込むと本業側の信用問題に発展します。

どう備えるか

副業の成果物は白紙から作るのが基本で、本業のファイルは開きません。実績を語るときは業種と規模だけにとどめ、社名も数字も伏せます。本業の情報の持ち出しは悪意がなくても成立するため、迷う前に線を決めておくと安全です。前の職場の内情を聞かれても答えない姿勢が、結局は信用になります。

確認先

出発点は入社時に署名した誓約書、就業規則の服務規律、取引先と結ぶ契約の条項です。営業秘密として法律の保護を受ける要件は不正競争防止法にあり、経済産業省の解説が入口になります。条文はe-Govの法令検索で読めます。自分がどの書面に署名したかを確かめるのが先で、記憶ではなく現物で確認してください。

解説動画: 秘密保持契約(NDA)でトラブルにならないための注意点【解説】/弁護士中野秀俊のYouTube法律相談所

出す側か、受け取る側か: 同じ秘密保持契約でも、自社が情報を開示する側か受け取る側かで有利な書き方が逆になる、というのが弁護士の最初の指摘。開示が多い立場なら相手にしっかり守らせたいので義務を重くする。受け取りが多い立場なら義務が重いほど自社が背負うリスクが増えるので軽くしたい。

どこまでが秘密情報か: 大事なのは、どこまでを秘密情報とするかだと言う。やり取りした情報を全部秘密情報とする書き方、顧客情報や技術情報に絞る書き方、原則は全部としつつ例外を挙げる書き方がある。範囲は契約書の最初のほうに書いてあるので、開示側でも受領側でも、そこだけは把握しておくよう念を押している。

片方だけが義務を負っていないか: 「甲は」「乙は」と書き分けた結果、一方だけが秘密保持義務を負う契約は珍しくないという。それで足りる場面もあるが、自社も情報を出すのであれば、相手にも義務を負わせておかないと守らせられない。「甲及び乙は」と双方が義務を負う形になっているかを、結ぶ前に必ず確認する。

終わったあとの扱いとテンプレ任せ: 契約が終わったときに預かった秘密情報を返すのか廃棄するのか、その方法をどうするかの条項も確認する。とりあえず巻いておこうとテンプレートのまま結び、後で読んだら自社だけが義務を負っていたと気づくことがあるので、手元の契約書を一度読み直すことを勧めて終わる。