損害賠償と再委託
契約と責任
失敗したときの責任と、人に任せる約束
どういう決まり?
納品物に問題があって発注者に損害が出たとき、契約に沿って賠償を求められることがあります。再委託は受けた仕事の一部や全部を別の人に頼むことで、契約で禁じられていたり、事前の承諾が必要とされていたりします。どちらも契約書の後ろに小さく置かれがちで、読み飛ばされやすい条項です。
何が問題になるか
賠償の上限が書かれていないと、報酬をはるかに超える金額を求められる理屈が残ります。無断で外に出せばそれ自体が契約違反となり、報酬の返還や契約の解除につながります。手伝ってもらった相手から情報が漏れた場合も、発注者に対して責任を負うのは自分です。
どう備えるか
賠償は報酬額を上限とする書き方が使われることがあり、交渉の余地はあります。再委託は事前に相談し、承諾を文面で残します。任せる相手とも秘密保持義務と同じ約束を交わし、作業の範囲を分けておきます。間に合わないから黙って外注が、いちばん危ない選択です。
確認先
損害賠償の基本は民法にあり、条文はe-Govの法令検索で読めます。条項が妥当かどうかは取引の全体を見て判断されるため、一般論では決まりません。高額な賠償の条項を見つけたら、署名する前に相談してください。法テラスや各地の弁護士会が相談の入口になります。
解説動画: 業務委託契約書の作成方法!7つのポイントと契約条項の工夫例などを弁護士が解説します。/弁護士 西川 暢春 - 弁護士法人咲くやこの花法律事務所
再委託を認める得と損: 再委託を認めると、受託者が外部の専門人材も使えるようになり、委託した業務の質やスピードが上がる。反対に委託者の意図が伝わりにくくなり、誰が実際に手を動かしているのか見えず、責任の所在も不明確になる。弁護士はこの両面を並べたうえで、認めるかどうかを決めるべきだと言う。
丸投げを防ぐ縛り方: 禁止か許可かの二択にせず、認めたうえで縛るのが実務。挙げられたのは事前の許可制、一部分だけ認める方式、再委託先の社名と連絡先を通知させる義務、そしていったん出した許可を後日撤回できると契約書に書いておくこと。再委託先の仕事について受託者が責任を負うと明記するのも基本になる。
賠償を狭める条項: 委託者が損害賠償を請求する場面は、受託者の仕事ぶりの問題か情報漏えいが多い。ところが契約書には、賠償を重過失があったときだけに絞る条項がよく入っている。法律は過失があれば請求できるので、これは委託者の権利を法律以上に制限している。重過失という表現は避けるべきだと説明していた。
上限額と逸失利益: 賠償額を委託した業務の報酬額までとする上限条項にも注意がいる。情報漏えいや知的財産権の侵害では損害が膨らみ、上限を超えた分は委託者が被ることになる。「直接発生した損害に限る」「逸失利益は含まない」という限定も、間接的な損害や逸失利益まで及ぶ法律の原則より狭い。
下請法がかかる相手: 発注側の資本金が1000万円超で、相手がそれより小さい会社や個人事業主なら、下請法がかかることがある。ものづくりやプログラム・コンテンツの作成、自社が請けた役務の下請け発注などが対象で、納品や提供から2か月以内の支払いと、条件を書いた書面の交付が義務になる。同意があっても代金の減額は不可、仕様どおりの物のやり直しも違反。