翻訳

書く・伝える

別の言語の文章を移しかえる仕事

どんな仕事?

ある言語で書かれた文章を、意味を保ったまま別の言語へ移します。実務では技術マニュアルや契約書、医薬、特許、字幕、ゲームと分野ごとに分かれ、分野の専門知識が語学力と同じくらい効きます。発注元は翻訳会社が中心で、機械翻訳の出力を人が直すポストエディットの案件も増えました。評価されるのは正確さと納期を守ることです。

仕事の流れ

翻訳会社に登録し、トライアルと呼ばれる試験翻訳に合格すると案件の打診が届きます。用語集とスタイルの指定を受け取り、支援ツールの上で訳して、自分で見直してから納品します。チェッカーの指摘が戻ることもあり、そこでの応じ方が次の依頼につながります。原文の意味が取れない箇所は推測で埋めず質問するのが基本です。

単価と収入の目安

原文1ワードや1文字あたりで決まり、英日なら1ワード5〜12円あたりが一つの目安です。分野と会社で差が大きく、ポストエディットは通常の半分前後に設定されがちです。処理量は1日2000ワード前後が目安なので、副業だと受けられる量に上限があります。登録から継続受注までに数か月かかるのが普通で、収入は約束できません。

最初の1件までにやること

得意分野を先に決めます。本業で扱っている技術や商品の分野なら、語学力より用語で勝てる余地があります。翻訳会社への登録は履歴書と職務経歴、トライアルの提出が基本で、登録料はかからないのが通例です。仕事を探す前に、公開されている公的文書を訳して自分の訳文を溜めると実力の位置が見えます。専門分野の辞書や有料の支援ツールをそろえる場合は、1〜3万円ほどを見込んでおくと動きやすくなります。

向かない人・つまずくところ

話せることと訳せることは別で、読解より日本語の文章力でつまずく人が多い仕事です。機械翻訳の性能が上がった分、平易な案件の単価は下がっています。企業の未公開資料を扱うことも多く、秘密保持義務の理解は欠かせません。納期は短く設定されがちで、平日の夜だけで回そうとすると睡眠から削られます。

解説動画: 【後編】出版翻訳について(出版翻訳の楽しさ、大変さ、実務翻訳との比率、出版翻訳を目指す人へのアドバイスなど)宮川未葉さん(ATA認定翻訳者・認定試験グレーダー)にインタビュー!/ランサムはなTV

1日の量を決めて崩さない: 本は語数が最初から分かるので、締め切りから逆算して見直しの時間も含めた1日の訳す量を決め、表にして毎日消し込む。30分単位でどこまで進めるかまで割り振り、その日の遅れをその日のうちに出さない。そうしないとずるずる遅れると話していた。

本の仕事は常時は来ない: この翻訳者の場合、仕事全体に占める出版翻訳は4分の1から3分の1ほど。依頼が絶えず来るわけではなく、数か月空くこともあるため、実務翻訳と並行して回している。これまでに訳した本は35冊で、映画やキャラクター関連が中心だという。

名前が出るかどうかの違い: 出版翻訳は訳者の名前が本に載るのに対し、実務翻訳では普通は名前が出ない。名前が出れば信頼につながりやすい。世間で「翻訳」と言えば本の翻訳を思い浮かべる人が多いという話も、この違いと重ねて出ていた。

大変なのは表現と調べ物: やりがいは本の世界に入り込めることと、原文の印象にぴったりくる訳が決まるパズルがはまる感覚。その裏返しで表現の工夫が一番大変で、意訳をひねり出すのに手間がかかる。実務では出てこない意味や表現が原文にあるので調べ物も多く、辞書の下の方に出ている語義や文学的な表現を取り違えないよう確かめる。

目指す人に言っていたこと: やりたい分野を周りに言っておくと、機会が来たときに思い出してもらえる。もう1つは小説だけを思い浮かべないこと。実務で扱ってきた専門分野に近い本や、趣味でよく知っている分野のノンフィクションのほうが入りやすい。出版と実務は別物ではなく、求められている通りに正確に訳すという根は同じだと語っていた。