甘み
味・香り
「甘み」は、官能試験の評価項目には入っていません。
言われていること
噛むほど甘みが出る、冷めると甘みが分かるといった言い方が、売り場の案内や炊き方の紹介で使われます。氷を入れて炊くと甘くなるのように、炊き方で甘みを引き出すという説も並びます。でんぷんが分解して糖になる、という説明が添えられることもあります。炊飯器の機能や米の品種の説明にも、甘みという語がよく置かれます。
測るとどうか
農林水産省が示す食味官能試験の項目は外観・味・香り・硬さ・粘りなどで、甘みは項目として立っていません。野村ら 2024 は炊飯米から溶け出した「おねば」の単糖・二糖・三糖を調べました。食味計・硬さ粘り計・センサーの値と官能試験との相関を検討したと要旨にあります。甘みの強さとの対応までは要旨から読めません。
誰が・何を・どう測ったか
項目の並びは農林水産省の解説によります。甘みという語は文中に出てきますが、食味官能試験の評価項目としては置かれていません。野村ら 2024 は近畿大学工学部研究報告57巻の報告で、試料の点数・糖の測定法・相関の値までは要旨に書かれておらず、本文は開けていません。早川ら 2025 の体系には味と風味の言葉が31語ありますが、個々の語と測定値の対応表は確認できていません。
だからどうする
甘みは、測られた値ではなく感想として読みます。甘いと感じるかは、温度・水加減・噛む時間でも変わります。はちみつを入れて炊くと甘くなるのような説を試すなら、三点識別試験法のように、どれがどれか分からない形で並べて当てる手続きが要ります。一度当てただけでは、差があったことになりません。品種を選ぶときは、甘みの語ではなくアミロースや米のタンパク質のように、測られている値のほうを見ます。
まだ分かっていないこと
甘みの強さを測った数値と、人が答える甘みの評価を結んだ公開データは確認できていません。野村ら 2024 の本文を読めば糖の量と食味計の値の関係までは分かるはずですが、この回は要旨までです。氷を入れて炊くと甘くなるのような炊き方の違いで、糖の量がどう動くのかも数字になっていません。味センサーのような装置が出す値と、甘みという言葉の対応も整理されていません。
出典
- 公的機関 農林水産省 米の食味の理化学評価
- 論文 野村正人 ら(近畿大学工学部研究報告 57巻)(2024) 数種類の炊飯米の食味に及ぼす糖含量の相違について
- 論文 早川文代 ら(日本食品科学工学会誌 72巻6号)(2025) 米飯の官能評価用語体系の構築