常温で持ち歩く

持ち歩き・保存

常温で持ち歩くのは、握ってから食べるまで室温に置く持ち方です。東京都保健医療局の事例は、電車や海水浴場という高温の場所を持ち歩き、作ってから約12時間後に食べて3人が発症したケースでした。ラップの端を開けて蒸気を抜く工夫は伝えられていますが、何度に何時間までなら安全側かを一律に示した数値は見当たりません。

何が変わるか

握ってから食べるまで室温に置く持ち方です。置いた時間・気温・湿度が食中毒に関わるため、味の条件と同じ列に数えておくものです。おにぎりが常温で運ばれる食品であること自体が、黄色ブドウ球菌の原因食品に挙がる理由で、梅干しを入れれば持つという言い伝えも、ここに集まってきます。安全性を具や包材に帰属させず、時間と温度の条件として数えます。

分かっていること

東京都保健医療局の事例では、前夜0時ごろに握ってアルミホイルで包み、朝5時に家を出て電車や海水浴場という高温の場所を持ち歩き、作ってから約12時間後に食べて家族5人中3人が発症しました。黄色ブドウ球菌の毒素は加熱で無害になりません。北海道立衛生研究所の大野優太さんは、ラップで握るときは握った後に両端を少し開けて蒸気を逃がしてから閉じると、湿気による菌の増殖を抑えやすいとHBCニュースで説明しています。

分かっていないこと

何度に何時間までなら安全側かを家庭の条件で示した一律の数値は見当たりません。くらし科学研究所の実験では、レトルトご飯に菌を加え25℃・35℃で4〜22時間置くと、菌量が多いか温度が高いほど早く10の6乗/g程度で毒素を作り始めたと報告していますが、塩をつけて握ると傷みにくいのような一つの作法だけで結論が出るものでもありません。毒素はにおいに出ないとされ、すっぱいにおいがするかどうかで安全側かは決まりません。

どう測れば分かるか

持ち歩いた時間と、置いた場所の温度を記録から取ります。保冷剤の有無で中心温度がどう違うかは、温度計を包みに一緒に入れれば時間ごとに出ます。温度計は具の近くではなく飯の中心に入れます。菌数の判定は自分で行わず、糸を引くような変化が出たものは口にせず、厚生労働省と自治体が公表している資料に返します。同じ弁当と同じ移動で何度か記録すれば、条件ごとの差が並びます。冷凍したおにぎりは別の持ち方です。

出典

  1. 公的機関 東京都保健医療局 こうしておこった食中毒【家庭編】① にぎりめしによる黄色ブドウ球菌食中毒
  2. 動画 HBCニュース 北海道放送(取材:北海道立衛生研究所 大野優太さん) 自分で握ったおにぎりで“食中毒”ラップを使い、具も傷みにくい梅おかかをチョイスしたのに…夏は気温だけでなく湿度にも注意
  3. 資料 くらし科学研究所(2010) 「おにぎり」に付いた黄色ブドウ球菌による食中毒リスクの調査

解説動画: 自分で握ったおにぎりで“食中毒”ラップを使い、具も傷みにくい梅おかかをチョイスしたのに…夏は気温だけでなく湿度にも注意/HBCニュース 北海道放送

握ってすぐ包むと: 番組はまず、おにぎりを握ってすぐ包むか、そのまま弁当箱に入れるかを街で聞きます。道立衛生研究所の大野優太さんは、手についたものをつけない対策は取れていても、それで安心してしまうのが危ないと述べます。ラップで握ると中の熱が逃げにくく、水蒸気が結露してびちゃびちゃになると続けます。

湿りも効いてくる: 菌が増えるときに効くのは温度だけではなく、水分も大きく影響すると説明されます。37〜42℃で爆発的に増える一方、びちゃびちゃのままなら気温が低くても増える。だから握ったらラップの両端を閉じずに蒸気を逃がしてから包む。道の食中毒警報の基準も最低気温20℃以上・湿度85%以上と、湿度を含んでいます。

実際に起きたこと: 札幌のタクシー運転手が先月おにぎりで食中毒になった経緯が出ます。朝6時に炊いた飯の残りでおにぎりを2個、素手ではなくラップを使い、具は傷みにくいとされる梅おかかを選んでいます。それを粗熱を数十秒しか取らずに包み、エアコンの届かないタクシーのトランクに入れました。

4時間後に出た: 食べたのは10時半で、匂いにも味にも違和感は無かったと言います。およそ4時間後の午後1時過ぎに吐き気と嘔吐が始まり、寒気と39℃の発熱。夜に病院へ行き、薬を飲んで翌日には落ち着きました。その日は最高気温20℃未満の涼しい日で、だから大丈夫だと思っていたそうです。

時間と温度の側: 大野さんは、吐き気と嘔吐は黄色ブドウ球菌の典型的な症状で、発熱があるので他の菌も入った可能性があると見ます。常温に置かれたラップの中の水分が増殖の条件になったという読みです。番組が挙げる対策は汁気を切る・冷ましてから詰める・涼しい場所・保冷剤で、おにぎりは熱いうちに握るかどうかとは別に、包んだ後の時間と温度が結果を決めた例になっています。