吸水
水と熱
洗った米が水を吸い込む現象で、約2時間で止まります。檜作進の実測では20℃で2時間おくと米の重さの20〜30%を吸い、最初の30分でその約65%まで進むとされています。農林水産省は最低30分、できれば60分の浸漬が必要としています。
図: 浸した時間と、米が吸う水の進み方
檜作進(1970)の実測(20℃)。2時間で自重の20〜30%を吸い、30分でその約65%に達する。曲線は測った2点(30分・2時間)を通る形で描いたもので、その間の各点を測った値ではない。水温が下がるほど到達は遅くなる。
何が起きているか
洗った米が水を取り込んで膨らむ現象で、浸す工程で進み、糊化(α化)に必要な水を米粒の内部まで届けます。檜作進の実測では20℃の水に2時間おくと米の重さの20〜30%を吸い、最初の30分でその約65%に達するとされています。乾いた米ほど最初の勢いが強く、時間が経つほど速さは落ちます。浸けている間に見えるのは、白く濁って粒が膨らむ変化までです。
何によって変わるか
水温が高いほど速く進み、30℃の水は5℃の水より短い時間で飽和に達します。農林水産省は水温30℃以下での吸水率を20〜25%程度とし、最低30分、できれば60分の浸漬が必要としています。約2時間で飽和し、それ以降は増えません。玄米を浸す場合はぬか層が水の通りを妨げます。浸す時間の目安は、水の温度とあわせて考えることになります。
よくある勘違い
「長く浸けるほど吸う」という言い換えは誤りです。飽和したあとは時間を足しても増えず、米は一晩水につけておくとよいは吸水の話としては成り立ちません。常温で長く置くことは浸漬中の細菌増殖の側の問題になります。浸水は夏30分・冬2時間の倍率も、原典が冬は夏のほぼ2倍としているのに対して大きく開いています。時間を延ばすほど得があるという形にはなっていません。
台所での意味
浸す時間を決めるときの物差しがここにあります。現代の炊飯器は炊飯モードに浸水工程を含むため、炊飯器にまかせるなら別に計る必要はなく、鍋で炊くときに自分で確保する話になります。時間を長く取りたいなら冷蔵庫で浸すという選び方があり、芯が残ったが続くときに最初に見直す工程でもあります。浸けた時間より、水の温度と米の状態のほうが結果を左右します。
解説動画(海外・英語): This 37 minute video will change the how you think about Rice./Ethan Chlebowski
吸水と蒸発の量: 動画は、炊飯で効いている変数は米が吸う量と鍋から飛ぶ量の2つだけだと整理します。加えた水はこの2つに分かれるだけなので、蒸発が遅ければ吸いすぎて柔らかくなり、速すぎれば内部まで水が届かず芯が残ったまま止まる、という形で全体を組み立てます。
水を吸う仕組み: 外から入った水は、温度が154〜172°Fまで上がるとでんぷんの粒に抱え込まれ、粒が膨らんでアミロースとアミロペクチンが溶け出すと説明します。糊化(α化)にあたるこの変化は新しい結合を作らない物理的なもので、最初に沸騰させるのは水と米をその温度に届けるためだと述べます。
どれだけ吸うか: 米100gに対して水を0.5〜2.5倍まで変え、真空パックのまま195°Fで加熱した試験では、どの袋も水を吸い切ったのに粒の大きさと歯応えは別物でした。動画は重さで1〜1.25倍を良しとし、それを越えると粒が崩れて噛む手応えが残らないと話します。
白米と玄米の差: 7種類を同じ1対1で加熱した試験では、白米は水が胚乳へ直接入るぶん速く仕上がり、玄米・黒米・赤米は15〜25分長くかかりました。動画は、これらが多くの水を要るのではなく、ぬか層と胚芽が水の通りを遅らせているだけで、時間が延びたぶん蒸発が増えるのだと整理します。
袋の水加減の意味: どの品種も吸うのは重さの1倍ほどで、袋に書かれた1〜3倍との差は蒸発する予定の水だと結びます。蒸発は鍋の広さ・蓋の密着・火力・湿度・標高で変わるため、倍量を炊くときに水まで倍にしないと述べます。水をはかるときは、吸う分と飛ぶ分を分けて考えることになります。