メイラード反応
におい・色
メイラード反応は、糖とアミノ酸が結び付く反応です。褐色の物質と香りの成分ができ、ごはんではおこげの色づきや、保温の黄ばみ・においに関わります。MinuteFood(YouTubeチャンネル)は、この反応の材料は食品に広く含まれ、温度が高いほど速く進むと説明します。レビュー論文は、速さを決める条件にpH・温度・時間・水分活性を挙げています。
何が起きているか
糖とアミノ酸が結び付いて褐色の物質ができる反応で、香りや風味の成分もできます。レビュー論文は、速さを決める条件にpH・温度・時間・水分活性を挙げ、pHの物差しは炊飯水のpHにも出てきます。老化(β化)とは別の反応で、保温する間もゆっくり進み、黄色くなったごはんの説明に使われます。おこげの焼き色と香ばしさも同じ反応です。
何によって変わるか
農林水産省は、蒸し煮期は液体がほとんど残らないので、火力を弱くして焦げないようにすると書いています。保温については、70℃程度に保ってでんぷんの老化を抑えると説明しています。日立は、保温するとおこげと同じ反応がゆっくり起こり、においや変色が出ると説明しています。MinuteFoodは、室温でも数か月から数年かけて進むと話します。
よくある勘違い
保温にしておけば劣化しないという言い換えは、片方だけを見ています。農林水産省が70℃程度の保温の理由に挙げるのはでんぷんの老化の抑制で、黄変とにおいの変化は別です。「常温なら進まない」も誤りで、MinuteFoodは室温でも数か月〜数年かけて進むと説明し、熟成バルサミコ酢や黒にんにくの色を例に挙げています。温度が高いほど速く進むだけで、止まる温度があるとは説明されていません。
台所での意味
保温の色やにおいには、日立が、すすぎ水がきれいになるまで洗米すること、温度センサーの汚れや焼きつきを清掃すること、ふた加熱板のパッキンに米粒などの異物がないか確かめることを挙げています。残ったごはんは、ラップに包んで冷凍するし、電子レンジで温めるのがすすめだとしています。どちらもメーカーの案内で、測った比較ではありません。
出典
- 動画・英語 MinuteFood I FINALLY understand the Maillard reaction
- 論文・英語 El Hosry L, Elias V, Chamoun V, Halawi M, Cayot P, Nehme A, Bou-Maroun E(2025) Maillard Reaction: Mechanism, Influencing Parameters, Advantages, Disadvantages, and Food Industrial Applications: A Review
- 公的機関 農林水産省 米の調理特性
- 資料 日立の家電品(メーカーのサポート頁) 保温したごはんが、においます/黄色く変色したり乾燥します。
解説動画(海外・英語): I FINALLY understand the Maillard reaction/MinuteFood
一つの反応ではない: 動画はまず、メイラード反応は1つの反応ではなく多数の反応が将棋倒しのように連なったものだと言います。始まりは反応しやすい還元糖の一部と、たんぱく質の材料であるアミノ酸の一部が結び付くところで、できたものが組み替わって壊れ、また互いに反応してと続き、細部は今も分かっていないと述べます。
色と香りの出どころ: こうして最後には数百種類の化合物ができます。動画はそのうち環の形をした大きな分子が光を反射して褐色に見せ、とても揮発しやすい小さな分子が複雑な風味とにおいをつくる、と役割を分けます。色と香りが同じ反応から出てくるという整理は、米飯の黄色くなったを読む下地になります。
カラメルとの違い: 褐色になる反応は他にもあると付け加えます。カラメル化は糖と熱だけで進み、デキストリン化は大きなでんぷんが小さく分解される変化で、どちらもメイラード反応とは別の反応です。ただし1つの食品で同時に起こることもあり、高めの温度ではっきり色づいているならメイラード反応も混じっているだろう、というのが動画の見方です。
pHが高いほど速い: 条件の1つはpHで、高いほど反応は速く進みます。塩基性の環境ではアミノ酸側の反応する部分がさらに反応しやすくなるためで、酸の強いサワードウ生地は色づきにくく、ベーグルを重曹入りの湯でゆでると濃い色が出る例を挙げます。pHという物差しは炊飯水のpHの側にも出てきます。
常温でも進む: もう1つの条件は温度です。動画は常温でも反応は起こるが数か月から数年かかるとし、熟成したバルサミコ酢・黒にんにく・生ハムの色と複雑さをその例に挙げます。温度が高いほど速く進むので、保温するあいだの米飯は、時間をかけて同じ変化が進み続ける側に置かれることになります。