芽胞

微生物

一部の細菌が作る熱に強い構造で、炊飯の温度では死滅しません。ボツリヌス菌のものを死滅させるには120℃で4分以上、またはこれと同等の加熱が必要とされ、100℃程度では長い時間をかけても殺菌できません。

何が起きているか

一部の細菌が作る、熱や乾燥に強い休眠状態の構造です。ボツリヌス菌の芽胞を死滅させるには120℃で4分以上、またはこれと同等の加熱が必要とされ、100℃程度では長い時間をかけても殺菌できません。炊飯器にまかせる温度でも保温する温度でも死なないので、菌そのものとは別に数える必要があります。食品によっては、もともと含まれている前提で扱われます。

何によって変わるか

はちみつのように芽胞を含みうるものを加えて炊いたときに問題になります。はちみつを入れて炊くと甘くなるという説には、1歳未満の乳児に与えてはいけないという注意が併せて示されます。乳児ボツリヌス症の注意喚起は厚生労働省と消費者庁が出しており、保温する時間を延ばしても条件は変わりません。甘くなるかどうか自体も確かめられていません。

よくある勘違い

「加熱すれば菌は死ぬから安全」という言い換えは誤りです。菌そのものが死んでも耐熱性の芽胞や毒素は残りうるとされ、浸漬中の細菌増殖が起きたあとに炊いた場合も同じことが言えます。すっぱいにおいがするご飯を、温め直すことで戻せると考えるのも、同じ取り違えにあたります。見た目やにおいで判断できる変化ばかりではありません。

台所での意味

加えるものと置き方の判断に直結します。1歳未満の乳児が食べるご飯にはちみつを入れないこと、米は一晩水につけておくとよいのように常温で長く置く手順を避けることの2つが、実際に効きます。時間を長く取りたいなら冷蔵庫で浸す、炊いた後は冷凍するという置き換えになります。どちらも炊く前に決められる手順で、あとから取り返せる種類の話ではありません。

解説動画(海外・英語): Bacillus Cereus (Reheated Rice Syndrome) Food Poisoning, Pathology, Symptoms, Diagnosis, Treatment/JJ Medicine

セレウス菌とは: 動画はセレウス菌をグラム陽性の桿菌で、芽胞を作り毒素を出す菌だと紹介します。酸素があってもなくても生きられ、自分で動くこともでき、土の中にも食品にもいる。汚染されうる食品として米・野菜・豆・牛肉・七面鳥・じゃがいも・パスタ・チーズが挙げられ、報告されずに終わる例も多いと述べます。

常温で置いたとき: この菌は常温でも、少し温かい程度の場所でも急に増えると述べます。とくに2時間を超えて室温に置いた食品が危ないとされます。さらに芽胞は高い温度に長くさらされても生き残るので、加熱した食品の中に残ったまま、冷めていくあいだの増殖の出発点になりうる、という説明です。

嘔吐型は米から: 食中毒には嘔吐型と下痢型があり、嘔吐型は汚染された米で起きやすく、パスタやチーズ、じゃがいもでも報告があるとされます。原因は食品の中で先にできてしまった毒素セレウリドで、体内で作られるのを待たないぶん出るのが早く30分〜6時間。この毒素は熱に強く、きちんと加熱しても壊れないと述べます。

下痢型との違い: 下痢型は牛肉や七面鳥など肉から起きやすく、菌の細胞そのものを食べてから、腸の中で毒素が作られるぶん遅れて出るとされ、動画は6〜18時間という目安を示します。出るまでの速さの違いが、そのままどちらの型かを見分ける手がかりになる、という組み立てで、下痢型は水のような便と腹痛だと述べます。

加熱では消えない: 診断は、温めた米を食べたあとの吐き気と嘔吐という経過だけで付くことも多いとされ、手当ては水分と電解質を補う対症療法が中心で、症状は24時間以内に治まるのがふつうだと述べます。動画が繰り返すのは、ご飯を温め直すことでは芽胞も、先にできた毒素も消えない、という一点です。