保存樹の標識

誰のものか

保存樹の札は、伐採を禁じる札ではありません。都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律で市町村長が指定し、所有者には保存の努力義務が置かれる仕組みです。

何が決まっているか

都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律2条は、市町村長が都市計画区域内の樹木を保存樹・保存樹林として指定すると定めています。4条で市町村が標識を立て、5条は所有者の保存の努力義務までです。基準は施行令(昭和37年政令404号)にあり、健全で樹容がすぐれた木で、高さ1.5mで測った幹の周囲が1.5m以上、樹高15m以上、株立ちで高さ3m以上、はん登性樹木で枝葉の面積30m²以上のいずれかに当たるものです。

根拠になる法令

同じ法律の2条3項が、文化財保護法の天然記念物、森林法の保安林、景観法28条の景観重要樹木、国や地方公共団体が持つ樹木を保存樹の対象から外しています。強い規制は別の法律の側にあるという建て付けで、景観重要樹木には景観法31条により伐採や移植に景観行政団体の長の許可が要ります。保存樹の側は5条の努力義務にとどまり、刑罰を科す条文は置かれていません。

実際どうするか

木に付いた札は、表記と発行者の名前を読むところから始めます。「保存樹」「保存樹林」なら上の法律か自治体の条例、「景観重要樹木」なら景観法、「天然記念物」なら文化財保護法と、根拠が分かれます。自治体が公開している保存樹の一覧に番号や樹種が載っていることも多く、指定年まで追えます。街路樹に付く札は別物で、樹種名や管理番号を示すだけの場合があり、これは街路樹の管理者の側の管理標です。

勘違いしやすいところ

「札があるから切れない」とは限りません。保存樹の指定は所有者の努力義務と、市町村の助言や補助を軸にした仕組みで、伐採を全面的に禁じる条文はありません。逆に、札の無い大木が自由になるわけでもなく、天然記念物や景観重要樹木、自治体の保護樹木条例が別に重なっていることがあります。札の根拠が読み取れない木は、公園なら指定管理者に尋ねます(公園の木と草)。