チュリパリン
汁と樹液
球根の外皮を扱った指先から荒れます。チューリップの球根に含まれるチュリパリンAによる皮膚炎で、園芸と切り花の仕事で古くから知られてきました。
どんなことが起きるか
指先と手のひらが乾いて硬くなり、指紋のあたりからひび割れていきます。一度で出るというより、扱い続けた数日から数週間でできあがる形が典型です。日本皮膚科学会『接触皮膚炎診療ガイドライン2020』の表13はチューリップの成分をチュリパリンAとし、球根に含まれると記しています。刺激とアレルギーの両方の顔を持つ物質で、繰り返すほど少ない量でも出るようになります。
原因になる植物
原因はチューリップの球根、とくに外側の茶色い皮です。植物の中では前駆体のツリポシドの形で存在し、組織が傷つくとチュリパリンAに変わります。花壇の植えつけで球根を素手で握る人、切り花の茎を長く扱う人に出るため、同じ姿勢で数百球を続けて扱う日がいちばん危うくなります。ヒガンバナ科の球根は別のしくみで、ヒガンバナやスイセンはリコリンとシュウ酸カルシウムの針状結晶によります。
その場でどうするか
球根を置いたら石けんで手を洗い、水気を拭き取ります。剥がれた皮の粉が爪の際にたまるので、そこを先に落とします。荒れた指でさらに球根を握らないことが要で、痛む側の手は休ませます。屋外なら携帯用の紙石けんで作業の切れ目ごとに落とせます。洗って乾ききる前に保湿すると割れ目が広がりにくく、ひび割れをテープで押さえたまま続けないようにします。
受診の目安
数日で落ち着く軽い乾燥なら、保湿で足ります。ひび割れから出血する、痛みで指が使えない、爪の変形が出てきたときは皮膚科を受診します。仕事で繰り返す人はアレルギー性接触皮膚炎へ進んでいないかをパッチテストで確かめる値打ちがあり、同ガイドラインも花き取扱者の職業性皮膚炎を挙げています。毎年同じ時期だけ荒れるなら、扱った球根を記録に残すと話が早くなります。
起こさないために
球根の外皮に触れる回数を減らすのが近道です。植えつけは手袋のまま行い、ニトリル手袋なら粉も汁も通しにくくなります。濡れた手のままの作業は刺激を受けやすく、荒れの進みが早くなります。時間で区切って間に手を洗う段取りにすると、指先の乾燥が積み上がりにくくなります。荒れてから手袋を着けても内側で蒸れるため、荒れる前から着けておく順序が効きます。