鼻音への同化
同化(別の音になる)
鼻音への同化は、語末の/n/が次に来る子音の発音位置に合わせて音が変わる現象で、唇を閉じる/p//b//m/の前ではten poundsが「テムパウンズ」のように/m/に近づき、舌の奥を使う/k//g/の前では/ŋ/に近づきます。口はすでに次の子音の形に向けて準備を始めているため、/n/を最後まで作りきる前に発音位置が引きずられて起こります。
どういう現象?
語末の /n/ は、次に来る子音の発音位置に合わせて音が変わることがあります。唇を閉じる /p/ /b/ /m/ の前では /m/ に近づき、ten pounds は「テムパウンズ」、green bag は「グリームバッグ」のように聞こえます。舌の奥を使う /k/ /g/ の前では/ŋ/に近づき、in case は「インケイス」よりも「インッケイス」に近い、奥まった響きになります。ten girls のように、次の語頭の子音が違えば変わり方も変わります。
なぜ起きる
本来は舌先で作る /n/ を、口はすでに次の子音の形に向けて準備を始めています。その結果、/n/ を最後まで作りきる前に発音位置が引きずられ、別の鼻音に変わってしまいます。これは英語に限らず多くの言語に見られる、発音のしやすさを優先した自然な変化です。話し手が意識して変えているのではなく、口の動きの都合で自動的に起こります。
聞き取りのコツ
綴りは n のままなので、聞こえた音と文字が一致しないことに戸惑いやすい現象です。次にどんな子音が続くかを手がかりに、m に近く聞こえたら唇を閉じる音の前、奥まった響きなら k や g の前だと見当をつけると、綴りに引っぱられずに聞き取れます。前置詞や数詞のあとの n で特によく起こるので、量や場所を表す語のあとでは注意しておくとよい目印になります。数字の ten、in、on のように短くよく使う語ほど、次の語に染まりやすいという傾向もあります。
例
ten pounds → テムパウンズ / green bag → グリームバッグ / in case → インッケイス / ten girls → テンッガールズ / ten cups → テンッカップス