/t/ のフラップ化
同化(別の音になる)
/t/のフラップ化は、アメリカ英語で母音に挟まれた/t/が日本語のラ行に近い、舌先で軽く弾く音になる現象で、water・better・cityのほかget itのように語をまたいでも起きます。Rachel's Englishは、matterとmadderは同じ音になると説明します。これは主にアメリカ英語の特徴で、イギリス英語のwaterの真ん中の音はふつう/t/のままです。
どういう現象?
アメリカ英語では、母音に挟まれた /t/ が、日本語のラ行に近い、舌先で軽く弾く音になります。water、better、city のほか、get it のように語をまたいでも起きます。Patterson と Connine(2001)は、会話のコーパスでこの音の多さを確かめています。ただし Rachel's English によると、attend のように強く読む音節の頭の t は、そのまま /t/ です。
なぜ起きる
息を止めて放す破裂がなく、舌先で一瞬弾くだけの音なので、話が滑らかになります。Rachel's English は、matter と madder は同じ音になると説明します。これは主にアメリカ英語の特徴で、John Wells は、イギリス英語の water の真ん中の音は、ふつう /t/ だと書きます。
聞き取りのコツ
「ラ行に聞こえたら t かも」と疑うのが実用的なコツです。party や little もこれです。Rachel's English は、日本語など多くの言語の R にあたる弾き音なので、母語の R と考えると役立つことがあるが、英語の r とは無関係だと述べます。Warner と Tucker(2011)は、会話では母音に近い弱い音(接近音)になった形も多いと報告します。自分で真似する必要はありません。
例
water → ワラー / better → ベラー / city → スィリー / get it → ゲリッ
出典
- 動画・英語 Rachel's English Flap T: Really a D Sound? American English Pronunciation
- 資料・英語 Rachel's English The Flap T!
- 資料・英語 Rachel's English T Pronunciations
- 論文・英語 Patterson D, Connine CM(2001) Variant frequency in flap production
- 論文・英語 Warner N, Tucker BV(2011) Phonetic variability of stops and flaps in spontaneous and careful speech
- 資料・英語 John Wells(2012) tap, tap
解説動画: 『大人のフォニックス』英語 waterの発音(アメリカのTの発音① - flapT) [#79]/『あいうえおフォニックス』英語発音
water が「ワーラー」に聞こえる: アメリカ英語の T について。日本の人には「らりるれろ」に聞こえるという人が多いが、実際はラ行と T の中間の音だと説明している。city、pretty などが例。
なぜそうなるのか: 本来の T は、舌で息を止めてから吐き出す音。しかしアクセントが無く、わざわざ息を止めて強調しなくてよい位置では、舌を T の位置に持っていくものの、息を止めずに弱くつなげて発音する。これがフラップ化の正体になる。
どちらでもよい: これはアメリカ英語の訛りであって、city と普通に発音しても世界的には問題ない。関西弁と標準語のような関係という比喩で、アメリカでは通じやすいがどちらでもよい、と位置づけている。