-ing の g 脱落

脱落(消える)

-ingのg脱落は、くだけた話し方になるほど語尾の/ŋ/が/n/に置き換わる現象で、goingは「ゴーイング」ではなく「ゴーイン」、talkingは「トーキン」に近く聞こえます。舌の奥を上あごに当てる/ŋ/より、舌先を歯ぐきに当てるだけの/n/のほうが発音の手間が少ないためで、改まった場面やゆっくり話すときはもとの/ŋ/の音に戻ります。

どういう現象?

-ing で終わる語は、くだけた話し方になるほど語尾の /ŋ/ が /n/ に置き換わり、going は「ゴーイング」ではなく「ゴーイン」、talking は「トーキング」ではなく「トーキン」に近く聞こえます。書き言葉では goin'、talkin' のようにアポストロフィで示されることがありますが、話し言葉ではそう書かれない場面でも起こります。歌詞やカジュアルな会話で特に目立つ現象で、改まったスピーチや朗読ではあまり起こりません。

なぜ起きる

/ŋ/ は舌の奥を上あごに当てて鼻に息を抜く音で、/n/ は舌先を歯ぐきに当てるだけで済む音です。速く・くだけて話すほど口の奥までの手間を省きます。フォーマルな場面やゆっくり話すときほど、もとの /ŋ/ の音に戻ります。同じ舌先の動きで済む /n/ のほうが、会話のテンポを保ちながら発音しやすいという単純な理由です。アメリカ英語かイギリス英語かという方言の違いではなく、フォーマルさの度合いが決め手になる現象です。

聞き取りのコツ

「グ」という音そのものが消えるわけではなく、鼻に抜ける響きの位置が変わるだけなので、-ing の語を聞くときは音の高さや響きの奥行きに注目すると聞き分けやすくなります。goin'、doin'、nothin' のように、-ing がつく語ならどれにでも起こり得ます。歌の歌詞やカジュアルな映画のセリフでは標準的な発音として定着しているので、聞き取れなかった語尾を「聞き逃した」と焦る必要はありません。強く発音される -ing は、むしろ改まった読み上げのしるしとして聞くこともできます。

例

going → ゴーイン / talking → トーキン / nothing → ナッシン / doing → ドゥーイン / something → サムシン