きしむ肌ざわり
肌ざわりと泡
肌がきゅっと引っかかるように感じる湯があります。ぬるぬる感と裏表の関係で、判別の式ではカルシウムとマグネシウムの多い側に当たります。
どう見えるか・どう感じるか
湯の中で手足をこすると、きゅっと引っかかるような感じ方になります。指の腹が滑らず、上がった後に肌が突っ張るように感じられることもあります。ぬるぬる感と反対側の言い方で、どちらも分析書には書かれない体感です。同じ湯に入っても人によって申告が分かれ、湯の良し悪しを表す言葉ではありません。書き手の語彙にも左右されます。
何がそうさせているか
大河内らの判別式では、Ke が大きい側、つまりカルシウムとマグネシウムの割合が高い湯がこちらに当たります。アルカリ成分が少なく硬度成分が多いと、肌の上で滑りを生むはたらきが起きにくいという整理です。同じ成分でも感じ方は人と季節で動くので、式は傾向を示すものとして読みます。ぬるぬる感と地続きの、一つの物差しの両端です。
出やすい泉質
硫酸塩泉や、カルシウムを多く含む塩化物泉で言われます。分析書では陽イオンの欄のカルシウムイオンとマグネシウムイオンの数値を見ることになり、ミリバルの欄で並べ替えると量ではなく割合が読めます。酸の強い湯でも言われますが、そちらはぴりぴりする刺激と混ざるので、別の感覚として分けて読みます。掲示の泉質名だけで決まる感じ方ではなく、量と比の両方を見ることになります。
時間と空気でどう変わるか
加水で薄めれば硬度の側も下がり、感じ方は弱まります。湯船に石けんが混じるとカルシウムと結びついた不溶物ができ、これが肌に残って別の引っかかりを生みます。上がってすぐと乾いた後でも違い、出るときのすすぎをした後の感想とはまた別のものです。何を感じ取っているのかが混ざりやすい欄なので、掲示の成分値から想像した肌ざわりとはずれます。
どこまで確かめられているか
石けんが泡立ちにくいという硬度の話とは、別の現象として分けて読みます。泡立ちにくさは水の中のカルシウムとマグネシウムが石けんと結びついて起きるもので、洗い場の湯栓とシャワーの湯で気づく側の話です。肌ざわりのほうは大河内らが温泉科学62巻・63巻で扱った判別式の範囲で、分析値と申告の対応を調べたもので、感じ方そのものを測った値ではありません。