ぬるぬる感

肌ざわりと泡

湯の中で肌が滑らかに感じられることがあります。この感じ方は pH だけでは説明が付かず、成分の組み合わせから読む試みが続いています。

どう見えるか・どう感じるか

湯に入ると、肌の上を湯が滑るように感じられることがあります。手のひらをこすり合わせたときの抵抗が減り、石けんを流し残したような感じ方だと言い表されます。分析書に肌ざわりの欄はありませんので、これは掲示の数値から読み解く側の話になります。強さを測る決まりもなく、きしむ肌ざわりとの境目も人の申告で決まる、体感から成分を逆にたどる欄です。

何がそうさせているか

有力な説明は、アルカリ成分と硬度成分の釣り合いです。大河内らは温泉科学62巻・63巻で、分析書の成分値から有効アルカリ成分の濃度(Ae)と、Ke=(Ca+Mg)/(Ae+Ca+Mg)という指標を組み立てました。Ae が大きく、カルシウムとマグネシウムが少ない湯で報告されやすいという整理で、pH の高さだけで決まる話ではありません。材料になるのはミリバルの欄の値です。

出やすい泉質

掲示ではアルカリ性の単純温泉や炭酸水素塩泉で言われることが多い感じ方です。液性の区分は湧出時の pH で決まり、8.5以上がアルカリ性、7.5以上8.5未満が弱アルカリ性です。ただし同じ区分でもカルシウムの多い湯では報告されにくく、pH値の欄だけでは決まりません。掲示は湧出地で採った湯の値なので、同じ数値でも申告が割れます。

時間と空気でどう変わるか

浴槽の湯では加水や循環式浴槽を通るあいだに pH と成分の比が動き、源泉のままの湯と感じ方がずれることがあります。空気中の二酸化炭素を吸えばアルカリの側は下がり、湯船の中には汗や石けんも混じります。掲示の数値は湧出地で採った試料のもので、そこから浴槽まで何を通ったかは温泉の利用状況の表示の側に書かれています。

どこまで確かめられているか

大河内らの報告では、506 の温泉の分析値にこの式を当てたところ98.6%が説明できたとされ、しきい値はAe 0.60以上かつ Ke 0.30以下と示されています。判別できた割合は高いものの、集めたのは感じ方の申告と分析値の対応で、肌ざわりそのものを測った量ではありません。言い切る形が広まった経緯はぬるつく湯はアルカリ性?の側にまとめてあります。