ラジウム温泉は泉質名?

表示の誤解

ラジウム温泉は、掲示に出る泉質名ではありません。掲示の側に並ぶのは単純弱放射能温泉などの名前で、限界値として量られているのはラドンのほうです。

よく言われること

看板や施設の名にある「ラジウム温泉」が、そのまま掲示の泉質名だと思われています。ラジウムという物質が湯に溶けていて、その量で名前が決まると考えるからです。だから壁の分析書にも同じ語が並ぶはずだと思って探し、見つからないと掲示のほうが省かれていると受け取ることもあります。名前が先にあって、紙をあとから当てにいく読み方になります。温泉地の名や送迎の表示にも同じ語が出るので、法令の用語のように見えます。

実際はどうか

鉱泉分析法指針1-3(3)が挙げる泉質名は単純弱放射能温泉・単純放射能温泉と、含放射能を頭に付けた名前です。限界値はラドンが30×10のマイナス10乗キュリー、すなわち111Bq/kg(8.25マッヘ単位)以上と決められており、量っているのはラドンという気体にあたります。同じ湯でも古い分析書では、マッヘ単位のまま書かれていることがあります。

なぜ広まったか

温泉法別表には「ラジウム塩(Raとして)1億分の1mg以上」という行があります。これは常水と温泉を分けるための限界値で、泉質名を決める表ではありませんが、同じ湯の紙にかかわる二つの表として混ざりました。放射能をラジウムの名で呼んだ時代の言い方が地名や施設の名として残ったことが、この取り違えを長引かせています。掲示の側でこの語を探しても、それに当たる欄は見つかりません。

どう言えば正しいか

「掲示の泉質名は放射能泉の側、量っているのはラドン」と言い分ければ、二つの表は混ざりません。掲示用泉質名の一覧については、環境省の新旧泉質名対照表が平成26年の改訂前の版のまま置かれているため、種類数を数え上げず指針の名前で見るほうが確かです。数字の欄はラドン含有量、名前の側は放射能泉で読めます。放射線と体の話は、この欄の外にあります。