泉質名が無ければ温泉ではない?

表示の誤解

泉質名が付くのは、療養泉に当たる湯です。温泉法の温泉と療養泉は別の表で判定され、温泉には当たるが療養泉には届かない湯には、泉質名が付きません。

よく言われること

掲示に泉質名が見当たらないと、ここは温泉ではないのだと決められます。名前の付かない湯は、沸かした水に近いと考え、単純温泉と書いてあればまだしも、それも無い紙は格が下がると読みます。泉質名を湯の名札として見る習慣が、この見方をずっと支えてきました。欄が空いていること自体が、根拠のように見えてしまいます。そもそも掲示に泉質名の欄が無い紙もある、とは考えられていません。

実際はどうか

限界値の表は二つあります。温泉法別表(鉱泉分析法指針 第1-1表)と療養泉の第1-2表で、遊離二酸化炭素は250と1,000mg、総硫黄は1と2mg、総鉄イオンは10と20mg、よう化物イオンは1と10mgと二段になり、ラドンも74Bqと111Bqで分かれます。前者に当たれば温泉、後者に届いて初めて泉質名という順序で、同じ物質でも二つの表で見ている高さが違います。

なぜ広まったか

泉質名が、湯の名札として一人歩きしてきたからです。掲示に一つは名前が載るものと思えば、無い紙は不備に見えます。表が二つあることは、掲示の側からは見えません。単純温泉は成分がうすい湯?という読み方とも地続きで、名前の有無がそのまま濃さの順に並んで見えました。療養泉という区分の名も、泉質名との関係が説明されないまま置かれています。

どう言えば正しいか

「温泉法上の温泉かどうかと、泉質名が付くかは別の表で決まる」と分けます。段差を作っているのは、片方の表にしかない物質です。メタけい酸50mg/kgは温泉法別表にはあり、療養泉の第1-2表にはありません。この二段があるため、温泉としての判定と泉質名は同じ紙の上で別々に決まります。物質ごとの欄はメタけい酸、判定の決まりは温泉法上の温泉にあります。泉質名が無いときの掲示の書きぶりは、施設によって違います。