収量が45〜75%増える?
収量が45〜75%増えるというのは、何と比べたのか書かれていない数字です。
判定
測った資料が見当たらない
言われていること
「エアロポニックスなら収量が45〜75%増える」という一文が、装置の紹介や導入の記事でくり返し引かれます。出どころは NASA の広報誌 Spinoff の2006年の記事で、同じ一文の中に水98%減・肥料60%減・農薬ゼロが並びます。何と比べたのかも、どの作物の話なのかも書かれていません。同じ一文から出た水の使用量が土耕の98%減る?も、同じ形の数字です。
測った人・対象・方法
載せたのは NASA ですが、値を出したのは装置を売る会社で、記事もその会社の言い分として書いています。45〜75%という幅が何のばらつきなのか——作物か、季節か、株の密度か——は書かれていません。同じ記事には NASA の中小企業向け研究開発(SBIR)の成果として1m²あたりの乾物重が80%増(水耕と土耕との比較)が別に載っており、こちらは比べた相手だけが一段書かれています。
測った結果
同じ温室で方式を並べて測ると、幅どころか向きが入れ替わります。Hutchinson ら 2025 はルッコラとレタスを28日、深水・薄膜・垂直タワー・噴霧の4方式で育て、水・電気・面積あたりの効率を比べました。結果はルッコラは噴霧が最もよく、レタスでは噴霧が中位です。どの作物にも当てはまる一つの幅、という形にはなっていません。
正しい言い方
増えた・減ったは、作物と比較相手と密度を書いた組でしか言えません。1m²あたりか1株あたりか、生体重か乾物重かでも数字は動きます。同じ記事の中でも、NASAの実測は乾物重・水耕比という指標で、45〜75%とは前提が異なります。品目まで下ろした例は葉物は水耕より多く採れる?、条件を書いた記録が残る例は種いもが1株から45個採れる?です。密度そのものは株間と栽培密度が扱います。
出典
- 公的機関・英語 NASA Spinoff(2006) Progressive Plant Growing Has Business Blooming
- 論文・英語 Hutchinson GK, Rubio Ames Z, Nemali K, Ferrarezi RS(2025) Arugula and Lettuce Responses to Greenhouse Hydroponic Systems: An Analysis of Yield and Resource Use Efficiencies
ほかのオトモ
同じ作りの図鑑が全11本あります。内容の近いものから並べています。
オトモドリンク&イーツ
料理と飲みものを、理由と条件から覚える
イーツ153・ドリンク122・発酵150
オトモネイチャー
野鳥・街の植物・昼の空・夜空の見分けと、キャンプ・釣りの図鑑
バード158・プランツ176・空124
シリーズ全11本を見る