言われている数字図鑑 | オトモアグリ

農薬が要らなくなるというのは、閉じた装置でも根の病気は出るので誤りです。

判定

測るとそうならない

言われていること

NASA Spinoff 2006 の記事には、装置を作る会社の主張として「農薬の使用量を100パーセント減らせる」と書かれています。通販や紹介記事はこれを閉じた装置だから病害虫と無縁と言い換え、土を使わないので土の病気は持ち込まれないという説明を添えます。出どころは水の使用量が土耕の98%減る?と同じ一文です。

測った人・対象・方法

Kenderdine と Raudales 2026(Appl. Environ. Microbiol.)はレタスを24Lの深水式で21日を6周期、各5反復・2試験回し、Pythium myriotylum を入れています。du Toit ら 1997(Plant Disease 81(2))は循環しない噴霧装置でトウモロコシ9系統に Fusarium graminearum を接種し、3日おきに根を見ています。

測った結果

接種したレタスは地上部の乾物重が76〜97パーセント、根の乾物重が57〜98パーセント減りました。噴霧側の du Toit らでは接種6日後に系統ごとの根腐れの差が出ています。噴霧の装置は、わざと発病させて抵抗性を調べる検定にも使われています。Laevens ら 2024 のレビューも、水を循環させることが感染につながりうると書いています。

正しい言い方

薬に頼らない設計はできますが、病気が出ないという意味ではありません。土から持ち込まれる病原が入りにくいのは確かで、一度入ると液と霧が系全体へ配る側に回ります。噴霧そのもので発生率を測った資料は薄く、葉や茎につく虫を数えた資料も見当たりません。見分けかたは根が茶色く変わると根がぬるついて崩れるの項目で扱います。

出典

  1. 論文・英語 Kenderdine CM, Raudales RE(2026) Continuous recirculation of hydroponic-nutrient solutions shifts bacterial communities and induces plant-defense gene expression in lettuce
  2. 論文・英語 du Toit LJ, Kirby HW, Pedersen WL(1997) Evaluation of an Aeroponics System to Screen Maize Genotypes for Resistance to Fusarium graminearum Seedling Blight
  3. 論文・英語 Laevens GCS, Dolson WC, Drapeau MM, Telhig S, Ruffell SE, Rose DM, Glick BR, Stegelmeier AA(2024) The Good, the Bad, and the Fungus: Insights into the Relationship Between Plants, Fungi, and Oomycetes in Hydroponics