名前を確かめる
見たものを書きとめ、図鑑で候補を絞る手順。
鳥を見つけたら、図鑑を開く前に、その場で見えたことを書きとめます。カナダの野鳥記録の団体BCFOは、場所と日時・いた環境・全体の印象・大きさ・行動・色と模様・声・くちばしや脚の細部という順に書く覚え方を勧め、図鑑を見る前にこの手順を済ませるよう勧めています。図鑑を先に見ると、実際には見ていない特徴まで記憶に足してしまうためです。インドの市民科学の記事は、大きさと形・色と模様・行動・声・いた場所のうち最低1つを気づいた直後に書くよう勧め、身近な種で書く練習を重ねるほうが役に立つとしています。
書いた特徴がそろったら、この図鑑の見分けの分かれ道で近い候補を探し、まず大きさと形の組から当たります。ハシブトガラスとハシボソガラスは嘴の太さと額の段差の一点、トビとノスリは尾の後ろ端の形の一点で決まり、どちらも色や大きさを比べずに済む組です。日付も書き残しておくと役立ちます。ハクセキレイの夏羽と冬羽のように同じ個体でも季節で姿が変わる組があり、違う季節に見た記録と比べると別の種に見えることがあります。
色と模様で迷う組は、思い込みが先に立つ分、書いた記録のほうが頼りになります。メジロとウグイスは目の周りの白い輪の有無が決め手で、カメラメーカーのキヤノンが運営する野鳥の解説サイト「Bird Branch Project」は、メジロが花の蜜を求めて枝先に出るためよく見かけられ、やぶに隠れたまま鳴くウグイスとは声だけで取り違えられやすいと説明しています。「鶯色」という言葉が指す明るい黄緑も、実際のウグイスの褐色よりメジロの体色に近いとされ、色の呼び名だけで決めると外れます。季節や雌雄で色が変わらない組もあり、ハクセキレイとセグロセキレイは頬が白いか黒いかの一点が、幼鳥でも冬でも変わらない決め手になります。
決め手の一点が見えなかった日は、名前を決めずに見えたところまでを書いて引き下がります。ジョウビタキの雌とルリビタキの雌は尾の色が暗いやぶで読めないことがあり、バンとオオバンも額の板が幼鳥では出ていません。こうしたときは「ヒタキの仲間・尾は未確認」のように見えなかった特徴を添えて記録を閉じれば、ルリビタキやアオジが同じやぶに居つく公園や林で、次に会ったときの比べ先に使えます。決めきれなかった記録も、次に見分けるときの手がかりになります。
