最初の1時間
近所を歩いて、何種見つかるかを試す歩き方。
最初の1時間は、名前を正確に当てる散歩ではなく、家から歩いて戻れる道を一周し、何種に気づけるかを数える散歩です。鳥が最も活発になるのは夜明けからの数時間で、野鳥写真家のSimon d'Entremont(YouTube)は、朝と夕方を観察に向く時間、日が高くなる昼を最も鳥が少ない時間として挙げています。英国ホーニマン博物館の入門記事は、夜明けの大合唱は声を聞くのには向くが鳥は高い枝で鳴き合うため姿は見えにくく、採食を終えて落ち着く日没前の時間のほうが姿を確かめやすいとしています。最初の1時間に出る時刻は、鳴き声を手がかりにするなら夜明け直後、姿を確かめたいなら日が昇ってからのほうが向きます。
歩く道筋は、一つの環境に長居するより、身近な環境を数か所つないだほうが会える種類が増えます。住宅地の路地と庭先では電線と屋根、軒先、生垣、路面という高さの順に目を動かすと同じ路地が層ごとに分かれて見え、スズメは瓦の隙間や換気口の奥を出入りし、ハクセキレイは路面を尾を上下に振りながら早足で歩きます。少し早い時間に街路樹の並木道を通ると、夜を明かしたムクドリの群れが明るくなるとすぐに散っていく様子に出会えることがありますが、昼に通ると同じ道が空に見えます。足を延ばして都市公園の芝生と広場に出れば、地面を歩いて採食する鳥が集まり、木の多い神社と寺の境内まで回るとシジュウカラが木から木へ移る時期があります。見上げる先に建物が続くビル街と高い建物では、海辺の鳥だったイソヒヨドリが建物の縁に立つ姿が見られます。
動きを静かにするほど、会える数は増えます。物音を抑えて立ち止まり、数十秒待つと、身を隠した鳥が元の動きに戻ります(ホーニマン博物館の記事)。鳥へ向かって近づき続けると見えるのは逃げる後ろ姿だけになるため、動きを止めて待つほうが結果的に近くで観察できます(Simon d'Entremontの動画)。姿が見えなくてもハシボソガラスやヒヨドリの声が先に届くことがあり、声のした方向へ目を向けるだけでも数は増えます。
見つけた鳥の名前が分からなくても、この散歩では立ち止まらず、歩いた道筋で何種に気づけたかを歩きながら数えるだけにとどめます。双眼鏡が無くても十分で、まずは声と動きに気づく力を鍛える散歩と位置づけます。
