トビとノスリ
大きさと形で迷う組
トビとノスリは、広げた尾の後ろ端が中央でV字に切れ込むか、丸い扇形かで分かれます。
並べる2種
トビと、山地で夏を過ごして秋冬に低地へ下りるノスリは、どちらも上空を旋回する茶色い猛禽として同じ空に出ます。トビの全長は種全体で47〜60cmとされ、ノスリと重なります。日本野鳥の会の解説はノスリを全長52〜57cm、翼開長120〜140cmとし、トビより色が薄くずんぐりして見えると説明しています。冬の田んぼと用水路や河川敷の上空は、両種が重なって回る場所です。飛び方の印象だけでは分かれません。
決め手になる1点
見るのは尾の後ろ端の形だけです。トビの尾は角ばって広がり、中央がV字に切れ込みます。ノスリの尾は短くて後ろ端が丸い扇形で、切れ込みは出ません。旋回して尾を広げた一瞬にここが読めれば、色や大きさを比べずに済みます。翼の下面も補助になり、トビは風切羽の基部に白い斑がまとまって出ます。トビは翼の上面にも淡い斜めの筋が入ります。ノスリは下面全体が白っぽく、翼の手首にあたる位置に黒い斑が並びます。
見る点が使えない条件
尾をたたんで滑翔しているときは、切れ込みが閉じて丸く見えます。追い風で直線的に流していく個体はほとんど尾を広げないので、この一点は取れません。真下から見上げる逆光も同じで、黒い十字の影になれば尾の縁の形は残りません。強風にあおられて尾をひねる姿勢では形が刻々と変わり、同じ個体でも見るたびに違う尾に見えます。帆翔と滑翔が入れ替わる数秒のあいだに、尾の形は何度も姿を変えます。
よくある取り違え
大きさで決めようとして外れる組です。上空の1羽では距離が分からず、大きさは比べられません。色の濃さも光の当たり方で変わるため、薄いからノスリだとは言えません。近くをハシブトガラスが飛べば見当が付きますが、離れて飛ぶ2羽を同じ距離だと思い込むと、かえって狂います。ノスリの下面は白っぽく、腹の帯と手首の黒い斑のほうが色より頼れます。飛ぶ高さも当てにならず、どちらも低く舞い降りることがあります。
決められないときの引き下がり方
「タカの仲間・種は不明」で置いておくのがこの組の引き下がり方です。尾を広げる瞬間は旋回のたびに来るので、数分だけ目で追って待つと決まることもあります。それでも読めなければ、高度と時刻と天気を書いて、種は決めない記録にします。空の猛禽は同じ時間帯に同じ空域を回ることがあり、日を変えて低い高度で会えることがあります。見えた条件を書き残しておけば、次に同じ空を見上げるときの支えになります。
出典
- 資料・英語 ミシガン大学動物学博物館 Animal Diversity Web Milvus migrans (black kite)
- 資料・英語 コーネル大学鳥類学研究所 Birds of the World Black Kite - Milvus migrans - Birds of the World
