ハクセキレイとセグロセキレイ
色と模様で迷う組
ハクセキレイとセグロセキレイは、背の黒さではなく通年変わらない頬の色で分かれます。
並べる2種
ハクセキレイとセグロセキレイは、白黒の配色も尾を振る動きも似ていて、川の瀬と中州で並んで歩きます。背の黒さは季節と雌雄で入れ替わり、分けられません。東京大学と宇都宮大学の研究者による1981年の栃木県の調査では、ハクセキレイは繁殖期に礫のない流れや町にいて、セグロセキレイの多い礫の川では見つかりませんでした。1984年の別の調査は、繁殖期のセグロセキレイの優位が住み分けの一因かもしれないとします。
決め手になる1点
見るのは顔の側面、頬の色の一点です。ハクセキレイは頬が白く、目の高さを通る過眼線が黒い線として入るだけです。セグロセキレイは頬から喉まで黒く、白いのは眉斑だけになります。この差は幼鳥でも雌でも、夏でも冬でも変わりません。白い顔に黒い線ならハクセキレイ、黒い顔に白い眉ならセグロセキレイ、という順で読みます。頬は体の側面にあるので、水辺で目線を低くするほど正面から見やすくなります。
見る点が使えない条件
背の黒さは条件になりません。ハクセキレイは夏羽の雄で背が黒くなり、冬や雌では灰色に変わるため、背だけを見た人はセグロセキレイと取り違えます。この季節差はハクセキレイの夏羽と冬羽の受け持ちです。顔が影になる逆光や、頬の面が見えない後ろ姿でも決まらず、水面の照り返しが強い日は白がにじんで線を追えません。雨に濡れて羽の色が濃く出るときも、白と黒の境目は曖昧になります。
よくある取り違え
「背黒」という名に引かれて、背の黒い個体をセグロセキレイと呼ぶのがよくある取り違えです。夏のハクセキレイの雄は背が黒く、名前のほうが誤解を招きます。声は補助で、野鳥撮影ASA(YouTube)は、ハクセキレイは高く軽い「チチチ」、セグロセキレイは低めに濁った「ジジ」「ツイ」と説明しています。腹の黄色いキセキレイは色で分かれますが、尾を振る動きと歩き方は3種とも似ています。
決められないときの引き下がり方
顔の向きが取れないなら、「セキレイの仲間」で止めるのが引き下がり方です。歩く個体は向きが変わるので、少し待ちます。頬が影のままなら、「背は黒・頬は不明」と条件を付けて残し、種名は保留にします。名前を先に決めてから特徴を当てはめると、誤りが次の観察まで残ります。2人の研究者が多摩川中流で2冬調べた報告では、ハクセキレイの縄張りが冬のあいだ続いており、同じ場所に通えば再会できるかもしれません。
出典
- 論文・英語 Hiroyoshi Higuchi, Toshiaki Hirano(1981) Breeding Records and Breeding Habitats of the White Wagtail Motacilla alba in Tochigi Prefecture
- 論文・英語 Syuya Nakamura, Hiroyuki Hashimoto, Osamu Sootome(1984) Breeding Ecology of Motacilla alba and M. grandis and their Interspecific Relationship
- 論文・英語 Michihito Watanabe, Naoki Maruyama(1977) Wintering ecology of White Wagtail Motacilla alba lugens in the middle stream of Tama River
- 動画 野鳥撮影ASA (birder) ハクセキレイとセグロセキレイの見分け方
