上腕三頭筋

腕

上腕三頭筋は、二の腕の太さの3分の2を担う筋

位置

長頭は肩甲骨の関節下結節から、外側頭と内側頭は上腕骨の後面から起こります。三つは肘に近づくと一本の太い腱にまとまり、尺骨の肘頭に付くほか、肘の関節包と前腕の筋膜にも付きます。腕の後ろ側をおおい、上腕の体積のおよそ3分の2を占める大きな筋肉です。内側頭は三つの中でいちばん深く、外側頭と長頭の下に隠れていて、指では触れません。

はたらき

肘を伸ばすのが主な働きで、三つの頭がすべて担います。長頭だけは肩甲骨から起こるため、肩を後ろへ引く動きにも少し関わる二関節筋です。Kholinneらのチームは健康な10人で、肩の挙上角度を0〜180°に変えて肘を伸ばし、各頭の力を比べました。0°(腕を体の横に下ろした位置)では長頭の力と筋活動が、90°以上では内側頭の力が、ほかの二つより大きかったと報告しています。拮抗するのは上腕二頭筋です。

鍛え方

長頭を狙うなら、腕を頭上へ上げた姿勢のオーバーヘッドエクステンションが向いています。Maeoらの2023年の研究では、成人21人が片腕ずつ、ケーブルの肘伸展を12週間行い、長頭の筋肉量は頭上の位置で+28.5%、ニュートラルの位置で+19.6%増えました。頭上の腕は、ニュートラルの腕より軽い重さで、1RMは同程度に伸びました。今古賀翔【トレーニング科学】は、頭上の種目は肋骨が開いて腰が反りやすいと説明しています。

ストレッチ

腕を頭上へ上げて肘を曲げ、反対の手で肘を後ろへ押すと長頭が伸びます。20〜30秒ずつ左右2回。肘に体重を乗せて押し込むと関節を痛めるため、力加減は軽めに保ってください。ここが硬いと万歳の姿勢が取りにくく、頭上への種目が窮屈になります。

出典

  1. 論文・英語 Kholinne E ほか(2018) The different role of each head of the triceps brachii muscle in elbow extension
  2. 論文・英語 Maeo S ほか(2023) Triceps brachii hypertrophy is substantially greater after elbow extension training performed in the overhead versus neutral arm position
  3. 資料・英語 OpenStax Anatomy and Physiology 2e 11.5 Muscles of the Pectoral Girdle and Upper Limbs
  4. 動画・英語 Kenhub - Learn Human Anatomy Triceps Brachii Muscle - Origin, Insertion & Innervation - Human Anatomy | Kenhub
  5. 動画・英語 AnatomyZone Triceps | Muscle Anatomy
  6. 動画 今古賀翔【トレーニング科学】 三頭筋の筋肥大に最も良い種目は?【上腕三頭筋のティアリスト】

解説動画: 上腕三頭筋のプレスダウンとエクステンションのフォーム/ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】

概要: トップ選手のプレスダウンとトライセップスエクステンションを、握り方や肘の位置まで細かく聞き出していく内容。握る位置が指一本ぶん違うだけで関節の動きが変わり、効く場所も変わるという前提に立ち、動作に入る前に全ポジションを作ってしまう考え方を紹介している。

プレスダウンの握りと構え: 指先の方で握ると手首が返ってしまい、負荷が抜けるので、手のひらの真ん中で押さえるようにして手首をまっすぐ固定する。親指を掛けないサムレスグリップにすると肘を閉じやすく、胸や肩に力が入りにくい。足幅は肩幅から腰幅の間くらいにすると肘が閉じて負荷が抜けない。肩は落としたまま、肘を支点にして動かす。

収縮を深める体の使い方: ストレッチのポジションでは体をやや斜め下に向け、戻す局面でわずかに前へかぶせるようにする。収縮のときに少し前を向くと、伸ばされた状態から収縮させる感覚が出て効きがまるで別種目のように変わる。ただしやりすぎて上を向くと腹圧が抜けるので、少し動かす程度にとどめる。マシンの重量が体重を上回る場面では、体が浮かないよう背中に15キロほどの加重を足している。

エクステンションで長頭を狙う: マシンに肘を置き、肩を上げた状態から肘を動かしていく種目。足を大きく広げると肩が開いて肘も開いてしまい、長頭がストレッチしないので、足を少しすぼめて肘も閉じた状態で行う。肘そのものを支点にすると外側頭に効いてしまうため、肘ではなく上腕三頭筋の付け根側を支点にするイメージで、そこに手を添えて支える。腕の長さによってマシンが合わない人もいる。

握り位置と左右差: 同じ種目でも、手首側で押さえるか小指側で押さえるかによって力の入り方が変わり、効く場所がずれてしまう。握りや肘のポジションを全部決めてからセットに入ると、動作中に力が抜けるところがなくなる。また右利きの人は左側が効きづらいことがあり、股関節にきちんと体重を乗せられているかで背中も肩も効き方が変わってくる。