天然・オーガニック・無添加・価格をめぐる誤解。
化粧品の誤解の多くは、成分名や「天然」「無添加」といった言葉の印象を、そのまま肌への安全性や効果の根拠にするところから生まれます。言葉が指している範囲を先に確かめ、次に全成分表示で中身を見る順番にすると、誤解に引きずられにくくなります。
「天然由来なら肌に優しい」という説は、由来の分類と刺激の起こりやすさを取り違えています。植物由来の成分にも接触皮膚炎や光毒性を起こすことが知られているものがあり、精油やハーブ由来の成分で肌荒れが報告される例もあります。「オーガニックなら誰でも安全」という説も同じ形で、オーガニック認証マークは原料の栽培方法についての印です。日本の化粧品には食品のような法的な基準がなく、民間の認証団体ごとに基準が異なります。天然かどうかではなく、配合されている成分と濃度、自分の肌の状態で合うかを確かめます。
「無添加なら何を使っても安全」という説では、何を添加していないかが商品ごとに違う点が抜けています(無添加)。香料・着色料・特定の防腐剤など中身はさまざまで、ほかの防腐剤や成分は配合されていることが多く、防腐剤を減らした製品は品質が劣化しやすくなる場合もあります。「パラベンフリーの方が安全」という説も、パラベンを別の防腐剤に置き換えた製品が多いことを見落としています。パラベンは日本で配合できる濃度の上限が定められたうえで使われ、長年の使用実績と安全性のデータが積み重なった防腐剤です。代わりの防腐剤が、パラベンより刺激が少ないとは限りません。「無添加」「〜フリー」の文字を見たら、何が入っていないのかを全成分表示で確かめます。
「高い化粧品ほど効果がある」という説では、価格に含まれるものが見落とされています。化粧品の価格には、成分や濃度のほかに、容器やパッケージ、広告やブランドの費用、売り方の違いが含まれます。手頃な価格の製品にも、化粧品として認められた効能の範囲で役立つ成分を配合したものは数多くあります。
「コラーゲンを飲むと肌のコラーゲンが増える」という説は、食べる成分と体の中の成分の名前が同じことから生まれた連想です。口から摂ったコラーゲンは、ほかのたんぱく質と同じくアミノ酸や短いペプチドに分解されてから吸収されます(Oharaら、2007年)。肌の水分量や弾力を測った26試験をまとめた解析では偽薬より改善しましたが(Puら、2023年)、23試験を資金の出どころで分けると、製薬会社の資金を受けていない試験では、水分量・弾力・シワのいずれにも差が出ませんでした(Myungら、2025年)。うるおいを保ちたいなら、化粧水のあとに乳液やクリームを重ねる順番から見直します。
やりがちな失敗は、1つの言葉を見て製品をまとめて入れ替えることです。入れ替えた本数だけ、肌に合わなかったときの原因の候補が増えます。赤みやかゆみが続くときは、天然由来か・無添加かにかかわらず皮膚科に相談します。
出典
- 論文・英語 Ohara H, Matsumoto H, Ito K, Iwai K, Sato K(2007) Comparison of quantity and structures of hydroxyproline-containing peptides in human blood after oral ingestion of gelatin hydrolysates from different sources
- 論文・英語 Pu SY, Huang YL, Pu CM, Kang YN, Hoang KD, Chen KH, Chen C(2023) Effects of Oral Collagen for Skin Anti-Aging: A Systematic Review and Meta-Analysis
- 論文・英語 Myung SK, Park Y(2025) Effects of Collagen Supplements on Skin Aging: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
- 動画 科学はすべてを解決する! [くられ with 薬理凶室] コラーゲンってなんなんですか? 肌に塗ってもいいんですか?
- 動画 かずのすけ 【小麦アレルギー被害2千人超】旧「茶のしずく」事件の真相と本当に避けるべき食品成分スキンケアについて化粧品のプロが解説!
- 動画 かずのすけ 【プチプラ・デパコス】10個の『同じこと』&『違うこと』!プチプラコスメとデパコスって何が違うの?プロしか知らない意外な共通点
- 動画 かずのすけ 【防腐剤無添加のカラクリ】敏感肌が「ノンパラベン」「防腐剤無添加」の化粧品を避けるべき理由【後編】

