子音の立て方

リズムと言葉

言葉の頭を少し前に置いてから出す

どういう技術?

「か」はkとa、「さ」はsとaに分かれていて、音程を持つのは母音のほうです。子音は音程のない雑音で、これを母音の前にきちんと置くと言葉が輪郭を持ちます。立てるというのは音量を上げることではなく、母音が始まるまでの一瞬を作る作業です。息の量ではなく置く順番とタイミングの問題です。

やり方

拍の上に母音が来るように置き、子音はその手前へ食い込ませます。サ行なら息の「ス」を先に鳴らしてから母音に着地します。強調したい言葉だけ子音の長さを2倍にし、ほかは触りません。マイクはマイクとの距離のとおり拳ひとつ分空けると、破裂音が割れずに子音だけ届きます。

練習のしかた

1曲の中でいちばん伝えたい1行を決め、その行だけ子音を長めに歌って録音します。聞き返してその行だけ言葉が立って聞こえれば成功です。違いは3分ほどあれば出ますが、全行でやると聞き苦しくなるので1曲に2〜3か所までにとどめ、あとはふだんどおりに歌うほうが、その1行が際立ちます。

やりがちなミス

パ行・バ行の破裂音は、マイクへ直接当たるとボッというノイズになり、マイクの扱いによる取りこぼしの原因にもなります。子音を立てようとして息を強く吐けば、そのぶん息が減ってフレーズの終わりが持ちません。音は口の形だけで作り、息の量は増やさないほうが最後まで声が続きます。

解説動画: 【歌うまテクニック】子音を立てる。/篠田沙希 魂のボイトレChannel

子音を立てると何が変わるか: 日本語はあいうえおが母音で、それ以外は子音+母音でできている。子音を強くはっきり出す利点は2つで、言葉が伝わりやすくなることと、リズムがよく聞こえること。テンポの速い曲で子音がぼんやりすると輪郭がぼやけ、リズムそのものが見えなくなると説明している。

カ行は横隔膜とベロで作る: Kは息の圧、つまり風を起こして出す音。まず咳払いをして横隔膜の動きを確かめ、それと同じくらい動かしながら発音する。もう一つは舌で、舌の奥を上あごの奥につけてから息で離す。痰が絡んだときにカッと出す感じに近い。この2つの力の釣り合いが取れるとKが立つ。

普段の3倍を目安にする: 会話なら子音を強く出さなくても通じるが、歌ではその強さでは弱い。普段の3倍は息を吐くつもりで筋肉を使う。唇を使うパ行・バ行・マ行は口先を使わない人が多いので3倍から5倍を意識する。Pは唇を閉じて風を送り圧をかける——スイカの種を遠くに飛ばすイメージだという。

喉で立てるのは失敗パターン: ありがちな失敗は喉の力で子音を立ててしまうこと。やってみると本当に喉が痛くなる、と話す。喉に違和感を感じるのはNGで、うまくいけば喉はまったく使わずに出せる。防ぐには奥歯や下あごに力が入っていないかを確かめ、喉と副鼻腔を開いたまま母音を出している状態を前提にすること。

母音をやせさせない: 子音だけ強くして母音が引っ込んでしまうと本末転倒で、子音を立てつつ母音もきれいに出す釣り合いを取る。語尾を吐き切るところまで同じ支えが要る。このバランスを整えるのは1日や2日でできることではないと本人が言っており、毎日の反復練習が前提になる。