子音の立て方
リズムと言葉
難しさ: すぐできる / 効くところ: 表現
子音の立て方は、言葉の頭を少し前に置いてから出すコツ。
どういう技術?
「か」はkとa、「さ」はsとaに分かれていて、音程を持つのは母音のほうです。子音は音程のない雑音で、これを母音の前にきちんと置くと言葉が輪郭を持ちます。立てるというのは音量を上げることではなく、母音が始まるまでの一瞬を作る作業です。息の量ではなく置く順番とタイミングの問題です。ボイストレーナーの篠田沙希(篠田沙希 魂のボイトレChannel)は、子音を立てる効き目を言葉が伝わりやすくなることと、テンポの速い曲ほどリズムがくっきり聞こえることの2つに分けて説明しています。Healthy Vocal Techniqueの運営者Victoriaは、29年にわたり歌唱指導をしてきたと述べたうえで、子音は母音がつながる線の上に乗せるもので、その線を途切れさせないことが大切だとしています。
やり方
拍の上に母音が来るように置き、子音はその手前へ食い込ませます。サ行なら息の「ス」を先に鳴らしてから母音に着地します。強調したい言葉だけ子音の長さを2倍にし、ほかは触りません。マイクはマイクとの距離のとおり拳ひとつ分空けると、破裂音が割れずに子音だけ届きます。篠田は、子音を強める力は喉ではなく声の支えと同じ横隔膜からの息で作り、カ行は舌の奥を上あごの奥へ当ててから離し、パ行・バ行は唇を閉じてから離すと、喉に負担をかけずに子音が立つと解説しています。
練習のしかた
1曲の中でいちばん伝えたい1行を決め、その行だけ子音を長めに歌って録音します。聞き返してその行だけ言葉が立って聞こえれば成功です。テンポの速い曲で試すと、子音の有無でリズムの聞こえ方が変わる差がいちばん分かりやすくなります。違いは3分ほどあれば出ますが、全行でやると聞き苦しくなるので1曲に2〜3か所までにとどめ、あとはふだんどおりに歌うほうが、その1行が際立ちます。
やりがちなミス
パ行・バ行の破裂音は、マイクへ直接当たるとボッというノイズになり、マイクの扱いによる取りこぼしの原因にもなります。子音を立てようとして息を強く吐けば、そのぶん息が減ってフレーズの終わりが持ちません。音は口の形だけで作り、息の量は増やさないほうが最後まで声が続きます。篠田は、喉の力で子音を強めると喉が痛くなると注意しており、横隔膜と舌・唇の動きだけで作るのが安全だとしています。Victoriaも、子音を目立たせるのに大きな音量は要らないと述べ、強調はあくまで言葉に張りを持たせる置き方の問題だとしています。
出典
- 動画 篠田沙希 魂のボイトレChannel 【歌うまテクニック】子音を立てる。
- 動画・英語 Victoria(Healthy Vocal Technique) Better Diction in Singing - MAKE YOUR SONGS COME TO LIFE!
解説動画: 【歌うまテクニック】子音を立てる。/篠田沙希 魂のボイトレChannel
子音を立てると何が変わるか: 日本語はあいうえおが母音で、それ以外は子音+母音でできている。子音を強くはっきり出す利点は2つで、言葉が伝わりやすくなることと、リズムがよく聞こえること。テンポの速い曲で子音がぼんやりすると輪郭がぼやけ、リズムそのものが見えなくなると説明している。
カ行は横隔膜とベロで作る: Kは息の圧、つまり風を起こして出す音。まず咳払いをして横隔膜の動きを確かめ、それと同じくらい動かしながら発音する。もう一つは舌で、舌の奥を上あごの奥につけてから息で離す。痰が絡んだときにカッと出す感じに近い。この2つの力の釣り合いが取れるとKが立つ。
普段の3倍を目安にする: 会話なら子音を強く出さなくても通じるが、歌ではその強さでは弱い。普段の3倍は息を吐くつもりで筋肉を使う。唇を使うパ行・バ行・マ行は口先を使わない人が多いので3倍から5倍を意識する。Pは唇を閉じて風を送り圧をかける——スイカの種を遠くに飛ばすイメージだという。
喉で立てるのは失敗パターン: ありがちな失敗は喉の力で子音を立ててしまうこと。やってみると本当に喉が痛くなる、と話す。喉に違和感を感じるのはNGで、うまくいけば喉はまったく使わずに出せる。防ぐには奥歯や下あごに力が入っていないかを確かめ、喉と副鼻腔を開いたまま母音を出している状態を前提にすること。
母音をやせさせない: 子音だけ強くして母音が引っ込んでしまうと本末転倒で、子音を立てつつ母音もきれいに出す釣り合いを取る。語尾を吐き切るところまで同じ支えが要る。このバランスを整えるのは1日や2日でできることではないと本人が言っており、毎日の反復練習が前提になる。