マイクとの距離
マイク
どこで使う: どちらでも
マイクとの距離は、口とマイクの間隔で決まる音量と太さ。
どういうもの?
声の大きさと太さは、つまみより先に距離で決まります。マイクを近づけると低音が持ち上がる近接効果は、音の圧力差を使う勾配型のマイクだけに起きる性質で、音が振動板の前面にしか届かない無指向性では起きないと専門誌は説明します。カラオケの部屋のマイクは、ほぼこの型です。効き方はマイクの正面が最大で、横へ90度傾けると中立になるとも言います。測定では5センチの距離のとき、双指向性は100Hz付近で20dB超、カーディオイドはその半分ほど持ち上がります。伴奏に負けずに強弱を作れるのは、この性質のおかげです。
使い方・設定の目安
部屋に入ってすぐ確かめられます。ボーカルコーディネーターの佐々木ひとえは、部屋のダイナミックマイクの目安を口先から5センチ前後とし、録音用のコンデンサーマイク(15〜30センチ)より近づけてよいと説明します。声を張るサビでは半歩ぶん離し、ささやく入りは唇のすぐ手前まで寄せる。ボイストレーナーのけいたんは人差し指2本分をニュートラルな開きに挙げます。強弱は音量のつまみでなく距離の出し入れで作ると、海外のボーカルコーチも勧めています。一度録音して聞き直すと感覚がつかめます。
注意・トラブル
離れすぎると声を拾いきれず、マイクの扱いによる取りこぼしにつながるだけでなく、部屋の反響まで一緒に拾ってこもった音になるとナレーション講師は述べます。距離を倍にすると音圧はおよそ半分になるとも言い、遠さの効きは軽くありません。逆に寄せすぎると息の風が正面から当たり、ぱ行やば行で音が割れる。真正面を避け少し横切るように構えると、この低音の割れは和らぐと専門誌にあります。音量で埋め合わせようとするとハウリングを招きやすく、姿勢ごとずれた距離は曲間で一度握り直します。体の側から見た話はマイクとの距離のとり方に。
出典
- 資料・英語 Eddy Bøgh Brixen/DPA Microphones(マイクメーカーの解説・利害あり) Proximity effect in microphones explained
- 資料・英語 Sam Inglis/Sound On Sound(2021) Proximity Effect
- 動画 けいたんの歌うま増やします。 【カラオケ】驚くほど「マイクに声が通るようになる」3つの方法!
- 動画 ささきひとえ【VocaLifeチャンネル】 【マイクの使い方】ボーカリスト必見! 正しいマイクの使い方とNGな扱い方
- 動画・英語 William Williams/Aliso Creek Voice Over Classes(ナレーション講師) Secret Microphone Technique for Voice Over
解説動画: マイクとの距離どうでしょう?【SHURE SM58】のグリルボール交換と近接効果の検証【レビュー/録音比較/DTM/ダイナミックマイク】/ツキシマ音楽堂
近づくほど低音が増える: 単一指向性のマイクは、音源が近づくにつれて低い音が強調されます。これが近接効果。数値では100Hz以下で6〜10dB持ち上がると説明しています。口を寄せるほど低い成分が増え、離せばその持ち上がりは弱まる、という関係です。
マイク側で補正している: 近接効果を見越して、100Hzあたりの感度をあらかじめ落とすロールオフという調整が入っているマイクがあります。低域が持ち上がりすぎないよう、設計の側で釣り合いを取っているわけです。グリルの中にポップフィルターを内蔵し、風やブレスの雑音を減らす作りも紹介されます。
距離で音を選ぶ: 低音を厚くしたいならマイクへ寄り、すっきりさせたいなら少し離す。どちらが正解という話ではなく自分の好みで決めるものだと言い切ります。決め方も単純で、距離を変えて録音し、聴き比べて選ぶ。自分にとってちょうどよい距離を知っておくことが大事だとまとめています。
録り比べた距離: 検証は、話し声を約1〜20cm、歌声を1〜10cm、アコースティックギターを5〜50cmの範囲で距離を変えて録音しています。距離に応じて入力ゲインを合わせて比べているので、音量の差ではなく音の傾向の違いが出ます。ちなみに動画の語り自体は約60cm離して録ったものです。