うまい人を真似る
伸ばす
独学の近道は、完成品ではなく手順の模倣
何が起きるか
上手な人を見て「すごい」で終わると、何も持ち帰れません。見るべきは出来上がりではなく、途中の手順と判断です。料理なら火加減を変える瞬間、ボルダリングなら足を置き直した位置。動画なら0.5倍速と一時停止で、自分の動きとの違いを一点だけ探します。真似は練習の設計図を借りることで、恥ずかしいことではありません。
どうするか
真似る相手は、自分より少し先の人にします。十年先の人は前提が違いすぎて、動きを分解できません。真似るのは一週間に一点だけに絞り、次の練習でそこだけを試します。可能なら自分の動きを撮って並べると、思っている形と実際の差が一目で分かります。撮ったものは消さずに残ると効くので、記録をつけると組み合わせてください。
やりがちな失敗
やりがちなのは、真似る相手を次々に替えることです。流派の違う手順が混ざって、どれも身につきません。もう一つは道具から真似ることで、同じ物を買っても手順は付いてこないため、道具沼にはまるの入口になります。うまくいかない日が続いても、数週間は同じやり方を通してから判断してください。
解説動画: 【悩み】神絵師の真似をしてるのに、上手くかけない理由は?/さいとうなおき2
概要: 目標にしている作家の絵を真似て当たりと呼ばれる下描きの目安を取り、位置は合っているはずなのに似ても似つかない、という視聴者の質問に答える回です。よくある現象だとしたうえで、可愛く見えるかどうかは当たりだけで決まらないと切り出し、原因になりやすい場所を順に挙げていきます。イラストの話です。
当たり: 人体のバランスが整った当たりはリアルな人物を描くときに有効で、それに沿えば立体感のある絵になります。ただし可愛さと整ったバランスは同居しなくてもいい。可愛いと言われた自作の絵から素体を抜き出すと潰れた饅頭のような形をしていて、基礎の整った絵のための当たりとは別物だとまず押さえてほしいと言います。
髪と口: 似ない原因として多いのが髪だと言います。顔が描けていても髪が破綻すると印象ごと壊れる。とくに目と髪の距離、顔に抑揚があるのに髪だけ直線的に割り切られている例を挙げます。次が口で、位置と大きさと表情は印象を変えやすいのに軽視されがちだと、マスクを外した人の印象が違って見える例で説明します。
記号として見る: 目も、大きさが合っていても瞳孔があちこちを向いていることがあり、人は視線に敏感なのでそこだけで違和感が出ると言います。当たりに慣れたら一度取るのをやめ、まつ毛の厚み、目尻の丸、鼻の斜めの線を図形として書き写す。口の端の三角が八重歯に見える、という具合に絵を記号として捉え直すやり方も勧めます。
仕上げ: 絵を学んだ人ほど立体感や基礎を意識するあまり表面の処理をないがしろにすると言います。バランスを整えるのは栄養のある土を用意したのと同じで、そこから咲かせる花が絵柄であり、目鼻口の特徴的な記号だと例えます。書き慣れた手癖を一度捨てること、首をかしげる程度でも表情やポーズをつけたほうが素直に可愛く見えることを挙げて結びます。