空城計
手薄なのを隠さず見せて、相手を疑わせる計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第三十二計
読み
くうじょうけい
意味
手薄なときに、手薄なままを見せて相手を迷わせる計。解語は、虚しいものを虚しく見せれば、疑いの中にまた疑いが生まれる、と言う。計に付いた解説は、虚と実に決まった形は無いと述べる。「剛柔の際」は易の解の卦の言葉で、結びの二句は読みに幅がある。
名前のもとになった故事
計名は「空城の計」と読む。知られているのは『三国演義』第九十五回である。諸葛亮は西城で四つの門を開け放ち、楼の上で琴を弾く。司馬懿は伏兵を疑って退く。計に付いた解説は、諸葛亮の後の例として唐の張守珪を引く。張守珪は、築きかけの瓜州の城の上で酒宴を開いた。敵は備えがあると疑い、攻めずに退いた。
見分け方
カードゲームで、相手が弱い手を隠さずにさらしてくるときに思い出す。慎重な打ち手ほど、無防備な形を罠だと読みやすい。確かめるのは、見えている形ではない。相手に、次の一手を出す余力が残っているかである。
よくある誤解
力が無いのに強がって人を脅すたとえとして使われる(教育部『成語典』)。解語が言うのは、強く見せることではない。手薄なものを手薄なまま見せ、相手の疑いに任せることである。計に付いた解説も「虚にして虚を示す」と言う。
計名と解語(原文と書き下し)
空城計。「虛者虛之、疑中生疑;剛柔之際、奇而復奇」(虚なる者は之を虚にし、疑中に疑を生ず。剛柔の際、奇にして復た奇なり)。「剛柔之際」は『周易』解の卦の象伝に見える句である。
故事と成立の確かさ
『三国志』諸葛亮伝の本文に、この場面は無い。裴松之の注が郭沖の語る話として引くが、場所は陽平で、琴は出ない。裴松之は、当時の司馬懿は宛にいて陽平で戦っていないとして、この話を退ける。『演義』第九十五回の本文に「空城」の二字は見当たらない。趙雲伝の注には、趙雲が営の門を開けて旗を伏せ、曹操の軍が伏兵を疑って退いた話がある。張守珪は『旧唐書』、祖珽は『北斉書』の伝に、按語とほぼ同じ文がある。
出典
- 資料・中国語 維基文庫 三十六計 敗戰計
- 資料・中国語 維基文庫 三國演義 第九十五回 馬謖拒諫失街亭 武侯彈琴退仲達
- 資料・中国語 維基文庫(陳壽) 三國志 卷三十五 蜀書 諸葛亮傳(裴松之注引『蜀記』郭沖の話)
- 資料・中国語 維基文庫(陳壽) 三國志 卷三十六 蜀書 趙雲傳(裴松之注引『雲別傳』)
- 資料・中国語 維基文庫 舊唐書 卷一百三 張守珪傳
- 資料・中国語 維基文庫 北齊書 卷三十九 祖珽傳
- 資料・中国語 維基文庫 周易 解
- 公的機関・中国語 中華民國教育部 成語典 空城計(修訂本參考資料)
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