風林火山
孫子の兵法
風林火山は、速さの教えとして知られる四句を原典の六句に戻す項目。
よく言われること
「風林火山」は、動くときは風のように速く攻めよという、速さを重んじる教えとして広く知られ、武田信玄の軍旗の由来としても知られる。
原典では何と書いてあるか
『孫子』軍争篇に「其疾如風、其徐如林、侵掠如火、不動如山」(其の疾きこと風の如く、其の徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し)とあり、これに続けて「難知如陰、動如雷震」(知り難きこと陰の如く、動くこと雷震の如し)という句が置かれている。武田信玄の軍旗は、このうち風・林・火・山の四句だけを記したもので、正式には「孫子の旗」または「孫子四如の旗」と呼ばれたと伝わる。
どこがずれているか
「風林火山」の句が「動くときは速く」という速さだけの教えとして引かれることがあるが、原文は風(速さ)と林(静けさ)、火(勢い)と山(動かないこと)という対になる四つの状態を並べており、速さと同じ重みで動かずにいることも説かれている。さらに原文にはこの四句のあとに「陰の如く知り難く、雷震の如く動く」という句が続くが、武田信玄の軍旗はこの四句だけを取り出したもので、六句すべてを掲げたものではない。
なぜそう広まったか
四字ずつ四句が語呂よく並ぶことと、武田信玄という戦国武将の軍旗という分かりやすい逸話が結びつき、もとは六句のうち前半の四句だけが「風林火山」という通称で広まった。武田家の遺臣が納めたと伝わる実物の旗は、高さ3.8m・幅78cmで甲州市の雲峰寺に伝わり、「其」を略した「疾如風徐如林侵掠如火不動如山」の14文字が記され、「孫子の旗」または「孫子四如(しじょ)の旗」と呼ばれる。
原典に沿って言うなら
『孫子』が説くのは、速さ・静けさ・勢い・不動に、隠密性と迅速な行動まで加えた六つの姿を状況に応じて使い分けることであり、風林火山の四句はその前半だけを取り出したものである。