軍事的天才

戦場で起きること

篇: 第一篇

軍事的天才は、特別な知力と気質の組み合わせが求められる、指揮官の資質について説く章。

『戦争論』のどこにあるか(篇と章)

第一篇第三章「軍事的天才について」の冒頭。

原語と原文

「Jede eigentümliche Tätigkeit bedarf, wenn sie mit einer gewissen Virtuosität getrieben werden soll, eigentümlicher Anlagen des Verstandes und Gemüts.」(どのような特有の活動も、それを一定の熟達をもって行おうとするなら、知力と気質のそれに特有の資質を必要とする)。

クラウゼヴィッツの言っていること

原文は、戦争という特有の活動を高い水準でこなすには、それに応じた知力と気質の資質が要ると述べたうえで、危険や不確かな情報、めまぐるしく変わる状況のただ中で瞬時に状況を見て取る力と、迷わず判断を実行に移す決断力とが組み合わさって初めて、優れた指揮官としての働きができると説く。

研究者の間で読みが割れるところ

この章が描く「天才」を、生まれつきの資質として読むか、経験によって鍛えられる能力として読むかは、研究者の間で力点が異なる。同時代のドイツ観念論やロマン主義における「天才」概念からの影響をどこまで重く見るかについても見方が分かれ、確かめきれない。

よくある引用とのずれ

「軍事的天才」が、生まれ持った才能だけを指す言葉として広まることがあるが、原文が説くのは知力と気質という複数の資質の組み合わせであり、とりわけ危険や不確かさのただ中で瞬時に的確な判断を下し、それを迷わず実行に移すという、状況に応じた働き方の話である。