戦争における危険

戦場で起きること

篇: 第一篇

戦争における危険は、実際に命の危険にさらされるという戦争にしかない条件が、判断や行動をどう変えるかを説く章。

『戦争論』のどこにあるか(篇と章)

第一篇第四章「戦争における危険について」。天才を扱う第三章と、身体的な労苦を扱う第五章のあいだに置かれる。

原語と原文

「Viertes Kapitel: Von der Gefahr im Kriege」(第四章 戦争における危険について)。

クラウゼヴィッツの言っていること

この章でクラウゼヴィッツは、危険というものが戦争という活動の要素そのものであり、これを実際に経験したことのない者には、その重みを正しく思い描くことが難しいと述べる。そのうえで、危険にさらされ続ける中でも冷静さを保ち、恐れに引きずられずに判断を続けられるかどうかが、指揮官や兵士の力量を分けると説く。

研究者の間で読みが割れるところ

この章で述べられる危険への慣れや冷静さが、経験によってどこまで、どのように身につくものかについては、研究者の間でも説明の重心が分かれる。次章の身体的な労苦の議論や、第七章の摩擦の議論とどこまで一体のものとして読むべきかも、確かめきれない論点として残る。

よくある引用とのずれ

この章の趣旨が「戦場では勇気を持て」という一般的な精神論として広められることがあるが、原文が扱っているのは、危険という条件そのものが判断力や知覚にどのような影響を及ぼすかという分析であり、単なる心構えの推奨にとどまらない。