水中での姿勢と抵抗

水の中

一直線かどうかで進む距離が変わる

何が起きている?

頭と腰と足が一直線に並んでいるかどうかで、同じ一かきで進める距離が変わります。腰が落ちて足が下がると、体は水を斜めに受ける一枚の板になり、前から見た面積が広がって、押しのける水が一気に増えます。力は同じでも進まない体に変わります。水の中の抵抗は目に見えないので、速い人の真似をしても差の理由が分かりにくいところです。

流れとしての理屈

体の後ろで水がきれいに閉じないと、そこは圧力の低い領域のまま残ります。前側は水を押しのけた分だけ圧力が高く、その高いほうが押し返す力が、前へ出ようとする体の重荷になります。姿勢が崩れるほど水は早く剥離し、後流が太くなり、その太さがそのまま抵抗の大きさです。泳ぎの上手さは水の閉じ方の上手さでもあり、背中側と腹側の両方で同じことが起きています。

選手がしていること

視線はやや下に置き、あごを引きすぎない位置で止めます。腰の高さは頭で決まるので、腰を上げようとする前に頭から直します。指先から足先までを一本の細い棒に見立て、壁を蹴った直後の形を基準にします。息継ぎのたびに崩れるので、呼吸の回数そのものを減らしていく人もいます。壁を蹴って何も動かさずどこまで進むかを測ると、崩れている場所が見つかります。

勘違いしやすいところ

力の強さで押し切れる、と思われがちです。ところが抵抗は速度の2乗あたりで増えるので、速い人ほど姿勢の代償が重くのしかかります。同じ努力を注ぐなら、腕を強くするより形をそろえるほうが速さへ変わりやすく、形状抗力の側から手をつけるのが近道です。

解説動画: 伏し浮きは10秒でできる-力学原理を知れば/A Y

足が下がるのは回転モーメント: 伏し浮きはうつぶせで両手足を伸ばして水面に浮かぶこと。狙いはストリームライン姿勢を体で覚えることです。ところが浮いたと思った直後に足が下がってきて、筋肉質の男性では特に起こり、上級者でもできない人がいると言います。動画はその原因を、体を回そうとする回転モーメントが働いているからだと説明します。テコやシーソーの話に出てくる、物を回転させる能力のことです。

浮心を下半身側へずらす: 回転モーメントが出るのは、浮心が重心より上半身側にあるからです。だから消すには、浮心と重心の左右の位置をそろえればいい。手足を伸ばして静止しているあいだは重心のほうを動かしようがないので、動かす先は浮心になります。動画が出す答えが腕の一部を水面から出すこと。上半身にかかる浮力が減って浮心が足のほうへ移り、体は水平のまま止まります。

腹圧では浮心は動かない: 投稿者がweb上で見たプロスイマーの伏し浮きの画像や動画は、どれも腕の一部が水面に出ていました。ここから先は投稿者自身が想像だと断っている推論です。プロは肩が柔らかく無意識に腕が出るぶん、意識に残るのは腹圧のほうだけになる。それを素人にもそのまま教えてしまうから、腹圧を入れても浮心は動かないまま足の浮かない人が増える、という筋書きです。

だるま浮きから立て直す: どうしても浮かない人向けには順番が示されます。まずだるま浮きをして、そこから腕を水面の上へ立てて回転モーメントを消し、格好はどうあれとにかく浮いてしまう。足が沈んでいないのを確かめてから、ゆっくり肘を伸ばしてストリームラインへつなげます。とりあえず足を沈めないところまでなら、腹圧や骨盤といった知識も努力も要らないと言い切ります。

予備練習なしで数十秒: 投稿者自身、伏し浮きはまるでできず、男だから体脂肪率が低いせいで仕方ないと諦めていたそうです。ある日たまたまweb上の画像と動画を見て原理をつかみ、翌日プールで試したところ予備練習は0回0分、一発目で数十秒浮けたと言います。必要な難しさは小学校高学年レベルで、当時は力学から解説したページが見当たらなかったとも語っています。