サーフィンと波
水の中
波の斜面を落ち続けて進む乗りもの
何が起きている?
割れる直前の波の斜面を滑り降り続けます。ある速さから先は、板は浮かんでいるのではなく水を下へ押しのけながら滑る状態へ変わり、沈み込みが浅くなって濡れている面積が急に小さくなります。この切り替わりが起きると、同じ波でも板は急に軽く走り出します。見ている側からは分かりにくい、板の下だけで起きている変化です。
流れとしての理屈
斜めに傾いた板が水を下向きに曲げ、その反作用として上向きの力を受けます。速度差と圧力差はこのとき同時に起きているだけで、片方が他方の原因ではありません。前へ進める力は斜面を下る重力の分です。ただし砕けたあとの泡だらけの水が板へどう力を伝えるかは、まだ完全には説明できていません。
選手がしていること
波が立ち上がる直前に速度を合わせ、板を斜面と平行に置きます。体重を前へ置くと滑り出し、後ろへ移すと板の後ろだけが沈んで向きが変わります。フィンは横滑りを止める板で、面積と角度で回りやすさが決まります。まず人のいる方向へ落ちない位置取りからです。
勘違いしやすいところ
波が水を運んで押してくれる、と思われがちです。沖の波で水はその場で輪を描いて戻る動きが主で、前へ運ばれる分はごくわずかです。水そのものがはっきり前へ動くのは波が砕けるところと、その内側の切り立った斜面に限られます。だから割れる位置の読みが、乗れるかどうかを決めます。
解説動画: 波のメカニズムを理解する事でさらに差をつける!テイクオフ続編!/Shaper’s Eye Channel
うねりは押してくれない: シェーパーのyas氏が図を描きながら前置きする。平らな海面に強い風が長く吹くほど大きなうねりが育つが、うねり自体に押す力は無い。うねりの上に船を浮かべても進まず、同じ場所で上下するだけで終わる。波待ちのサーファーもこれと同じ状態で、風や流れが加わって初めてどこかへ動く。
押すのは泡になってから: 押す力を持つのは、波が砕けるところから先の泡だらけの水、いわゆるスープだけ。スポンジボードで腹ばいになり岸を向いていると、後ろからスープが来た瞬間にバンと押されて進む。同じ人が同じことをうねりの状態でやっても進まない。この差が押す力の有無を示している、という説明の組み立て。
チョロQでたとえる: 絨毯を振ってうねりを作っても、上に載せた物は向こうへ行かず上下するだけ。ではなぜ乗れるのか。チョロQをうねりに合わせて離すと、ばねの力で滑り出したあとは重力で斜面を下り、そのうねりが100メートル先まで進むなら一緒に100メートル運ばれる。この最初のばねがパドリングで、強いほど乗れる確率が上がる。
水は上へ動いている: うねりの斜面では水が上へ向かって動いている。落ちたサーファーが必ず巻き上げられるのがその証拠で、押されるどころか引き上げられている。だからテールを意識して後ろへ体重をかけると抵抗を作って上へ持っていかれ、テイクオフが遅れる。重い頭を前へ置き、斜面にベタっと接する面を最大にするのが正解。
わざと遅らせる上級技: 熟練者はテイクオフをわざと遅らせる。理由は2つ。ひとつはバレル(樽のこと。同じ丸さが続く綺麗なチューブを指す)に長く入るため。もうひとつは緩い斜面より急斜面を降りるほうが速いから。切り立つのを待って一気に降り、トリミングを挟まず1発のボトムターンでトップへ当て込む狙い。