衝撃波

音と衝撃

音より速く進むときにできる圧力の段差

どんな現象?

空気の圧力と密度と温度が、ある面を境にほとんど一瞬で跳ね上がります。厚みは一ミリの一万分の一ほどしかなく、手前と奥では同じ空気とは思えないほど状態が違います。音のようになだらかにではなく段差のように変わるため、その面で光の進み方が折れ、特殊な撮影では細い白い線として写ります。通り抜けた空気は向きも速さも変えられます。

なぜ起きるか

音とは空気を押しては戻す弱い乱れで、その知らせは音の速さでしか前へ広がれません。物体が音より速く進むと自分で知らせを追い越してしまい、逃げ場を失った押しが一枚の面に重なります。面の後ろの空気は急に押し縮められて圧力と温度が上がり、その空気が物体を進む向きと逆に押し返します。だから音速に近づくあたりから抵抗が急に増え、先端の温度はマッハ2で百数十度、マッハ3では数百度まで上がります。

どこで見られるか

超音速の機体の先端や翼の前、ロケットの排気の中に立ちます。身近な代表は雷の音とむちの音で、放電やむちの先が空気を急に押しのけたときにできます。はじめは鋭い段差ですが数メートル進むうちに角が丸まり、遠くではゴロゴロという低いうなりとして届きます。花火が腹に響いて聞こえるのも同じ理由です。

勘違いしやすいところ

音速を超えた瞬間だけ起きると思われがちですが、超音速で進んでいる間はずっとできています。空に固い壁があるわけでもなく、知らせが追い越された結果にすぎません。近づく機体の音が先に聞こえないのも、音より先に本体が届くからです。動かない場所でも、爆発のように空気を一気に押しのければ同じ段差ができます。壁という言い方はマッハ1に壁があるという言い方で扱っています。

解説動画: 斜め衝撃波(マッハ数1.2~)反射形態を可視化【シュリーレン法⇒ノイマン・パラドクス】/カトウ光研株式会社

圧力の不連続を運ぶ波: 衝撃波は、大気の中を音より速く進む波で、通り過ぎるところで圧力が不連続に変わる。超音速で飛ぶ戦闘機やロケットのように、物体が空気中を音より速く進むと、その周りに生まれる。ただしふつうは目に見えない波だ、というところから動画は始まる。

シュリーレン法で写す: その見えない波をとらえるのが、光を使った可視化であるシュリーレン法。密度の勾配に敏感なので、目で見えない圧力の変化がそのまま像になる。実験では観測部にシステムシュリーレンを組み、伝わっていく衝撃波の姿を鮮明に写している。

縦型の衝撃波管で作る: 波を作る装置は縦型の衝撃波管。金属のオブジェクトを観測部へ斜めに置き、そこへ平面の波を上からぶつけて、跳ね返り方を見る。管には速度センサーを複数並べてあり、映像と速さのデータを同時に取っている、と説明している。

毎秒10万枚で撮る: 記録はハイスピードカメラで、毎秒4万枚と毎秒10万枚の2通り。反射のようすをスーパースローへ引き伸ばし、形の移り変わりを追う。可視化と高速度撮影を重ねたことで、伝わる衝撃波の反射形態を明瞭に把握できたとしている。

ノイマンパラドックス: 斜めの物体に当たった衝撃波は特徴的な反射を起こす。ところが弱い衝撃波では理論の値と実験の結果が合わないことが知られていて、これをノイマンパラドックスと呼ぶ。この実験の狙いはその解明に向けた基礎データ集めで、条件を変えながら画像を取りためている。