ヘルムホルツ共鳴

音と衝撃

瓶の口に息を当てると鳴る低い音

どんな現象?

口の細い瓶の縁に斜めに息を当てると、ボーという低い音が出ます。瓶の大きさで高さが決まり、水を入れて中の空気を減らすと音は高くなります。同じ瓶なら強く吹いても高さはほとんど変わらず、大きさだけが変わります。残りの量を変えた瓶を並べれば簡単な音階も作れます。

なぜ起きるか

首のところにある空気のかたまりが重りの役をします。かたまりが瓶の中へ少し押し込まれると中の空気が縮んで押し返し、ばねのように元へ戻します。行き過ぎると今度は外から押し戻されるので、かたまりは上下に往復します。縁に当たった息は細かい渦になって空気を揺らし、その揺れのうち往復の周期に合うものだけが育って音になります。

どこで見られるか

ギターの丸い穴、オカリナや口の細い壺、スピーカーの箱に開いた穴、車の窓を一つだけ開けたときのボボボという揺れ。中の空気が多いほど低く、首が長いほど低く鳴ります。建物の壁材にも小さな穴と空洞を並べ、決まった高さの音だけ吸わせる作りがあり、ホールの響きの調整にも使われています。走る車の例は高速で窓を開けたときの音です。

勘違いしやすいところ

管の長さで決まる笛と同じだと思われがちですが、中の空気の量と首の形で決まります。同じ高さの瓶でも胴が太ければ低く鳴ります。吹く強さが変えるのは音の大きさで、高さはほとんど変わりません。穴を二つ開けると両方が首として働くので音は高くなり、片方から吹いてももう片方へ抜けるぶん鳴りにくくなります。

解説動画: ヘルムホルツ共鳴(気柱の共鳴ではない)/吉田勝一・物理実験室

気柱の共鳴だと思っていた: 瓶に息を吹きかけるとボーッと鳴る。水を入れると音が高くなるので、気柱の長さが短くなったからだとずっと思っていた——という投稿者自身の勘違いから話が始まる。まずスマホの周波数を測定できるアプリで実際の音を測ると、183ヘルツほどだった。

計算が合わないので違う: 閉じた管の気柱の共鳴なら、瓶の長さが波長の4分の1にあたる。実験時の気温は25度ほどで音速は毎秒350メートル、瓶の長さはノギスで底の厚みを除いて測ると18センチほど。これで基本振動数を出すと486ヘルツになり、測定した183ヘルツと大きく食い違う。

おもりとバネに置きかえる: 残る答えがヘルムホルツ共鳴で、バネにつけたおもりの単振動として理解できる。おもりにあたるのが瓶の口元の空気、バネにあたるのが瓶の内部の空気。口元の空気が下に動くと内部の空気が圧縮されて押し返し、上に動くと内部が膨張して、元へ戻す向きにはたらく。

瓶を実際に測ってみる: 振動数を決めるのは音速・断面積・空気の長さ・体積の4つ。口元の内径はノギスで17.5ミリ、断面積はおよそ2.4平方センチ、瓶は500ミリリットルのもの。口元で振動する空気の長さは、定規を当てた2.3センチに開口端補正として半径の1.5倍を足して3.6センチとした。

ずれは誤差の範囲: こうして出した理論値は203ヘルツで、測定値の183ヘルツにかなり近い。口元の空気をどこからどこまでと見るかは読み取りが難しく、あと4ミリ長くとれば理論値と測定値は一致する。だからこのずれは誤差と考えてよく、瓶の音はヘルムホルツ共鳴だと結論している。