湯船の温度のむら

風呂

上が熱く足元がぬるくなる湯の層

何が起きている?

追い焚きを止めて十分ほど置いた湯船は、手を入れる深さで温度が変わります。表面近くは熱いのに足元は二度から四度ほどぬるく、腰を下ろした瞬間に背中と足で違う温度を感じます。かき混ぜると十数秒で均一になりますが、そのぶん上の熱い層は消え、湯を足しても上ばかり熱くなることがあります。

なぜそうなるか

温かい水は同じ体積でも軽く、冷たい水は重いので、放っておくと軽い方が上に乗った層になります。上が軽い並びは自分からひっくり返らず、熱は水の中をゆっくりしか伝わらないため、下の層は温め直されません。表面は蒸発と放熱で冷え、冷えた水は重くなって沈みますが、その入れ替わりが回るのは上の方だけで、底までは届きません。だから手で混ぜないかぎり足元のぬるさが残ったままになります。

確かめ方

湯を張ったまま静かに手を沈めて、指先と手首で温度の違いを確かめます。かき混ぜずに十分ほど置くと差は広がり、桶で底の湯をすくって手首の内側に当てるとはっきり分かります。いつもより熱い湯では試さないで、ふだんの温度のまま、深さだけを変えて比べてください。

つながる現象

重い水が上、軽い水が下という逆の並びになると、層は自分から崩れて入れ替わります。それがレイリー・テイラー不安定で、湯船はその反対の安定な側にいます。かき混ぜたとき湯がしばらく筋を引いてから混ざるのは、層流と乱流の移り変わりを目で見ていることになります。

解説動画(海外・英語): How changes in temperature create ocean currents ( Ocean Stratification Demonstration)/MooMooMath and Science

温かい湯と氷水を並べる: 仕切りのある水槽の片側に温かい湯、反対側に氷を入れた水を用意する。温度計の読みは温かい側が80近く、氷の側が35近く(動画は単位を言わないが華氏の目盛り)。温かいほうを赤い食紅、冷たいほうを青い食紅で染め、仕切りを開けた瞬間から何が起きるかを見る、という組み立て。

冷たい水は下へもぐる: 仕切りを開けると、青い冷たい水が赤い温かい湯の下へもぐり込んでいく。冷たい水のほうが温かい水より密度が大きいから下を流れるはず、というのが動画の見立てで、境目には小さな波のような形も現れる。温かい側では逆に上へ向かう流れが起き、対流になる。

中間の温度は間に入る: 次は仕切りを閉じて片側をかき混ぜ、温度も密度も二つの中間になった水を緑の食紅で染める。中間なら赤と青のあいだを流れるはずだと先に予想してから仕切りを開けると、緑はそのとおり二つのあいだを進んでいった。

深いところの海流も同じ: 海面近くの流れは風が起こすことが多いが、水面より下の深いところの流れは塩けの違いと水温の違いから生まれる、というのが動画の結び。温かい水と冷たい水が出会えば重いほうが下へ回り込む。その積み重ねが大きな海流になる。