湯気の立ちのぼり方

風呂

まっすぐ上がった白い柱が崩れる形

何が起きている?

湯から立つ白いものは水蒸気そのものではなく、冷えて小さな水の粒に戻ったものです。湯面のすぐ上には透明なすき間があり、その先から白くなります。柱はしばらくまっすぐ上がったあと、ある高さで急にゆらぎ、渦を巻いてほどけ、数十センチ先で見えなくなります。

なぜそうなるか

湯に温められた空気は軽くなり、まわりの重い冷たい空気が下から押し上げます。上がるほど速くなり、止まっている空気との差が広がると、境目のわずかなずれが打ち消されずに育ち、波打って巻き込み、渦になります。渦は冷たく乾いた空気を取り込むので、白い粒は蒸発して透明に戻り、そこで見えなくなります。どの高さで乱れ始めるかは毎回わずかに違い、前もって正確には言えません。

確かめ方

浴室の照明を背にして横から見ると、柱の形と崩れる高さが分かります。ドアを少し開けると、入ってきた冷たい空気で柱が傾き、乱れ始める高さが下がるのが見えます。顔や手を近づけないで離れて眺めてください。外の気温が低い日ほど、白い部分は長く伸びます。

つながる現象

まっすぐな柱が途中から崩れるのは層流と乱流の切り替わりそのものです。速さの違う空気が触れ合う境目が波打って巻き込む形はケルビン・ヘルムホルツ不安定と呼ばれ、雲の上面が並んだ波の形に巻き上がるときにも、同じことがはるかに大きな空気の層で起きています。

解説動画: ♯144 餃子と水蒸気 #科学系ポッドキャストの日/一般社団法人 焼き餃子協会

白いのは水蒸気ではない: せいろから立ちのぼる白いものは水蒸気ではない、という話から始まる。水が気体になった水蒸気は無色透明で目に見えず、白く見えているのは外の空気に冷やされて水の粒へ戻ったもの、つまり湯気。湯気は気体ではなく液体で、空の雲と同じ状態だと言う。

やかんの口で見分ける: 見分け方に挙がるのがやかんの注ぎ口。口にいちばん近いところは透明で、そこから少し離れた先に白いモクモクが現れる。透明なほうが水蒸気で、白いほうが湯気だという。餃子を仕上げているのは白い湯気ではなく、見えない水蒸気のほうが主役だと念を押す。

蒸発に要る熱の大きさ: 水1グラムを1度上げる熱が1カロリー。0度の水を100度にするのは100カロリーで済むのに、100度のお湯1グラムを水蒸気に変えるには約539カロリー要る。温めるぶんの約5倍という比で、沸騰してからやかんが空になるまで長くグツグツ続くのもこのためだとする。

凝縮熱と100度のサウナ: 奪った熱は水蒸気の中に抱えられ、冷たいものに触れて水へ戻る瞬間に相手へ渡される。これが気化熱の裏返しの凝縮熱。同じ100度でも乾いたサウナには人が入れるのに100度の水蒸気なら一瞬で全身をやけどするのは、この熱を抱えているかどうかの違いだと説明する。

蓋の中で熱が回る: 餃子で蓋をするのは水蒸気を逃がさないため。直火が当たるのは底面だけで、湯に浸かっていない上や横の皮へ熱を届けるのが水蒸気の役目になる。冷たい所を探して熱を渡すという言い方をしていて、その証拠に、火の当たらない蓋にも水滴がついて温まる。