納豆菌は体にいいから何にでも入れていい
菌のはたらき
納豆菌は体にいいから何にでも入れていいは誤りで、納豆菌と同じ枯草菌の仲間は、パンが糸を引いて傷む原因にもなります。
よく言われること
「納豆菌は強い菌だから、糠床やパン種に入れれば元気になる」。
実際はどうか
納豆菌は、芽胞を作る枯草菌(Bacillus subtilis)の仲間です。Pacherらのレビューは、枯草菌を含む Bacillus 属の菌がパンの糸引き(ロープ病)の原因に挙がり、芽胞は焼いても不活化されないと整理しています。Pepeらの調査では、小麦パン56個のうち30個が5日以内に糸を引きました。糸引きを抑える働きで選んだ乳酸菌2種の加熱培養を加えると、枯草菌の芽胞をまいたパンでも15日以上増殖を防げました。
なぜ広まったか
「体にいい菌」と「その発酵に向いた菌」が同じものだと思われているためです。発酵は、狙った菌に優位を取らせる作業であって、良い菌を足す作業ではありません。
どう言えば正しいか
「発酵は、どの菌に働いてもらうかを条件で選ぶこと。強い菌を足せばいいわけではない」と言うのが正しい理解です。
出典
- 論文・英語 Kubo Y, Rooney AP, Tsukakoshi Y, Nakagawa R, Hasegawa H, Kimura K(2011) Phylogenetic analysis of Bacillus subtilis strains applicable to natto (fermented soybean) production
- 論文・英語 Pacher N, Burtscher J, Johler S, Etter D, Bender D, Fieseler L, Domig KJ(2022) Ropiness in Bread—A Re-Emerging Spoilage Phenomenon
- 論文・英語 Pepe O, Blaiotta G, Moschetti G, Greco T, Villani F(2003) Rope-producing strains of Bacillus spp. from wheat bread and strategy for their control by lactic acid bacteria