麹はカビだから体に悪い

菌のはたらき

麹はカビだから体に悪いは誤りで、麹菌は毒を作る近縁種と違い、その遺伝子が働いていないことが確認された安全なカビです。

よく言われること

「麹菌はカビの一種なのだから、カビ毒が心配」。

実際はどうか

麹菌(Aspergillus oryzae)はカビの一種で間違いありません。近縁の Aspergillus flavus はアフラトキシンという強い毒を作ります。麹菌はその毒性のある野生種から、毒を作らない系統だけを人が選び続けて生まれた家畜化された菌だと、2012年の米バンダービルト大学の研究が示しています。2006年には日本醸造学会が「国菌」に認定しました。ただし、家庭の食品に自然に生えたカビが安全かどうかは見た目では分かりません。

なぜ広まったか

「カビ」という一語が、食品を駄目にするものと発酵に使うものの両方を指しているためです。日本語では区別する言葉がありません。加えて麹菌(Aspergillus oryzae)は見た目も遺伝的にもアフラトキシンを作る Aspergillus flavus に近く、分類の歴史の中で誤って産生菌とされたことがあったと、2018年のレビュー(Frisvadら)が整理しています。

どう言えば正しいか

「麹菌は、安全性が確かめられて選び抜かれたカビ。台所に自然に生えるカビとは別のもの」と言うのが正確です。

出典

  1. 論文・英語 Gibbons JG, Salichos L, Slot JC, Rinker DC, McGary KL, King JG, Klich MA, Tabb DL, McDonald WH, Rokas A(2012) The evolutionary imprint of domestication on genome variation and function of the filamentous fungus Aspergillus oryzae
  2. 論文・英語 Frisvad JC, Møller LLH, Larsen TO, Kumar R, Arnau J(2018) Safety of the fungal workhorses of industrial biotechnology: update on the mycotoxin and secondary metabolite potential of Aspergillus niger, Aspergillus oryzae, and Trichoderma reesei
  3. 公的機関 日本醸造協会(日本醸造学会の告知を掲載)(2015) 「国菌」認定 一部改正(菌名変更)