加熱したら菌が死ぬので意味がない
菌のはたらき
加熱したら菌が死ぬので意味がないは誤りで、菌が死んでも発酵で作られたうま味や成分は食品に残ります。
よく言われること
「味噌汁を煮立てたら乳酸菌が死ぬので、発酵食品を食べる意味がなくなる」。
実際はどうか
加熱で生きた菌は減りますが、発酵の過程で作られたアミノ酸・有機酸・ビタミン類・香り成分は、菌がいなくなっても食品に残ります。国際的なレビューは、殺菌後も残るこうした菌体成分や代謝産物を「ポストバイオティクス」と呼び、生きた菌がなくても安定した働きを保つとまとめています。ただし「加熱しても健康効果は同じ」という意味ではなく、生きた菌を前提にした研究とは別に扱う必要があります。
なぜ広まったか
「生きて腸まで届く」という宣伝文句が広く知られた結果、発酵食品の価値がすべて生菌の話に見えるようになりました。うま味や保存性という、発酵のもともとの目的が後ろに追いやられています。
どう言えば正しいか
「加熱すると生きた菌は減るが、発酵で生まれた味や成分は残る」と、二つを分けて言うのが正確です。
出典
- 論文・英語 Mockute E, Aksomaitiene J, Novoslavskij A, Kondrotiene K(2026) Lactic Acid Bacteria-Derived Postbiotics in Dairy Foods: Definitions, Functions and Regulatory Challenges
- 論文・英語 Taspinar T, Güzeler N(2026) Postbiotics in Food Systems: Components, Production Methods, Food Applications, Functional Properties, and Technological Challenges