白カビ(チーズの)

麹・カビ

白カビ(チーズの)は、Penicillium camembertiなどチーズの表面を白く覆うために選抜されたカビです。

どんな菌?

Penicillium camemberti など、チーズの表面を白く覆うために選抜されたカビです。カマンベールやブリーの、あの白い皮そのものが菌の集まりです。同じペニシリウム属には毒素を作る種も多く、台所に自然に生える白いカビとは別物です。フランスCNRSなどの研究チームが白カビチーズ用のカビと近縁種のゲノムを比較したところ、もとは青緑色だった野生のカビ(P. fuscoglaucum)から、まず灰緑色のP. biforme(ヤギ乳チーズに使う)が生まれ、さらに最近になって真っ白なP. camembertiへ分かれたという、2段階の家畜化の跡が見つかりました。性質の違う2つの品種があり、色・増える速さ・毒素を作る力・他のカビを抑える力がそれぞれ違うことも分かっています。

何をするか

表面から内側へ向かって、たんぱく質と脂肪を分解していきます。だから熟成が進むと外側からとろけ、中心が最後まで残ります。分解の過程でアンモニアを出すため、熟成が進みすぎたものは刺激的な匂いになります。フランスとオーストリアの研究チームが、市販のカマンベールチーズに他のカビをわざと加えて培養し毒素を測定したところ、P. camemberti単独ではほとんど毒素は出なかった一方、別のペニシリウム属やケカビが混ざって25℃で育つと、シクロピアゾン酸という毒素が検出されるようになったと報告しています。

好む環境

10〜15℃程度の低温と、適度な湿度。酸素を必要とするので、表面でしか育ちません。熟成庫では温度と湿度を細かく管理します。

関わる食品

カマンベール、ブリー、クロミエ。買ったチーズに、もとの白カビと違う色(青・緑・黒・ピンク)が出ていたら、それは別のカビです。チーズプロフェッショナル資格を持つ「てっぺいのワインチーズチャンネル」は、無殺菌乳で作る「カマンベール・ド・ノルマンディー」はAOP(EUの原産地呼称保護)の認証を受けた本家で、低温殺菌乳を使う量産品のカマンベールとは同じ名前でも規格が別だと説明しています。ヌーシャテルやブリヤ・サヴァランなど、脂肪分や形が違う白カビチーズも各地にあります。

出典

  1. 論文・英語 Ropars J, Didiot E, Rodriguez de la Vega RC, Bennetot B, Coton M, Poirier E, Coton E, Snirc A, Le Prieur S, Giraud T(2020) Domestication of the Emblematic White Cheese-Making Fungus Penicillium camemberti and Its Diversification into Two Varieties
  2. 論文・英語 Ollinger N, Malachová A, Schamann A, Sulyok M, Krska R, Weghuber J(2024) Limited Effectiveness of Penicillium camemberti in Preventing the Invasion of Contaminating Molds in Camembert Cheese
  3. 動画 てっぺいのワインチーズチャンネル 【チーズプロフェッショナル試験】押さえておきたいチーズ【フランス白カビ編】