青カビ(チーズの)
麹・カビ
青カビ(チーズの)は、ペニシリウム属のうち食用として選抜された種で、同じ属でも毒素を作る種とは別物です。
どんな菌?
ペニシリウム属のうち、Penicillium roqueforti(ブルーチーズ)や P. camemberti(白カビチーズ)など、食用として選抜された種があります。同じ属には毒素を作る種も多く、パンに生えた青カビとは別物です。フランス・デンマークなどの研究チームが青カビの仲間を比較したところ、強い毒であるPR毒素は、チーズ用の系統ではほとんど検出されず、野生や腐った木材から採れた系統でだけ多く作られていました。
何をするか
脂肪とたんぱく質を分解して、独特の刺激的な香りと風味を作ります。ブルーチーズの青い筋は、型に入れたあと専用の針で数十か所に穴を開け、そこから入った酸素に触れながらカビが育った跡です。カビも生きた菌なので冷蔵庫の中でも育ち続け、英語圏のチーズ専門チャンネル「Cheese Scientist」は硬いチーズの表面にあとから青い斑点が出ることもあると、ウェールズ産チェダー「Hafod」を例に紹介しています。
好む環境
10〜15℃程度の低温でも育ち、酸素がないと育たない好気性です。熟成庫では温度と湿度を細かく管理しながら数週間から数か月かけて青い筋を育てます。「Cheese Scientist」は、家庭の冷蔵庫は熟成庫のような管理された環境ではなく、どんなカビが混ざっているか分からないと注意を促しています。
関わる食品
ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、スティルトン。家庭で食品にカビが生えた場合、それが安全な種かどうかは見た目では判別できません。「Cheese Scientist」は、リコッタやモッツァレラのような水分の多い柔らかいチーズはカビが内部まで入り込みやすいため丸ごと処分し、コンテのような硬いチーズは表面を厚めに切り落とせば残りは食べられると説明しています。パンや餅、糠床に生えたカビは、種類を問わず食べないでください。
出典
- 論文・英語 Crequer E, Coton E, Cueff G, Cristiansen JV, Frisvad JC, Rodríguez de la Vega RC, Giraud T, Jany JL, Coton M(2024) Different metabolite profiles across Penicillium roqueforti populations associated with ecological niche specialisation and domestication
- 動画・英語 Cheese Scientist Can You Eat Mouldy Cheese? (How To Tell Good Cheese Mould From Bad Mould)
解説動画: 穴を開けて青カビを育てるブルーチーズ作り/世界一の村をつくろうTV by 伊勢昇平
青カビはいつ入るのか: 搾りたての150リットルほどの牛乳に、乳酸菌と青カビなど数種類の微生物を加えるところから始まる。そのあとレンネット(子牛の胃にある酵素)を入れて牛乳のたんぱく質を固める。チーズは牛乳のたんぱく質を固めた固形物だと説明しており、青カビは最初から中に入っていることが分かる。
中を隙間だらけに作る: レンネットを入れて50分ほどで杏仁豆腐くらいに固まり、ワイヤーの専用カッターで切ってから混ぜ、ホエイを抜いていく。水分を出しながら混ぜると粒同士がぶつかって表面が硬くなり、型に詰めても粒が密着せず中が隙間だらけになる。この隙間に青カビが生えるのがブルーチーズの仕組みだと説明している。
穴を開けて酸素を入れる: 型から出して塩をし、熟成庫へ。作って5日目に、針でチーズに穴を開ける。青カビは酸素を必要とするので、後から穴を開けて中まで空気を通してやる。穴は片面70〜80か所ほどで、季節やチーズの出来によって数を変えており、冬は多めにしているという。
2か月後の断面: 製造から2か月ほど熟成させたものは、外から見てもブルーチーズらしい見た目ではない。それを切ると隙間だらけに作った内側に青カビがきれいに回っている。先に隙間を作り、後から穴で酸素を入れ、そこにカビを育てるという工程がここで形になる、という見せ方をしている。