乳酸菌

乳酸菌

酸を作って、他の菌を寄せつけない

どんな菌?

糖を分解して乳酸を作る細菌の総称で、単一の種ではありません。ラクトバチルス属、ラクトコッカス属など多数が含まれます。動物性(乳由来)と植物性(漬物や味噌由来)に大きく分けられ、植物性のほうが過酷な環境に強い傾向があります。

何をするか

乳酸を作って周囲を酸性にします。酸性になると腐敗菌や食中毒菌が増えられなくなる—— これが漬物や発酵乳が日持ちする理由で、保存技術としての発酵の中心です。同時に酸味と、独特の風味を生みます。

好む環境

20〜40℃で活発になります。塩分にも比較的強いので、塩を効かせた糠床やキムチでも生き残り、むしろ他の菌が減るぶん優位に立ちます。多くは酸素を嫌う、または酸素がなくても増えられます。

関わる食品

ヨーグルト、チーズ、糠漬け、キムチ、すぐき、味噌、醤油、サワードウのパン。「植物性乳酸菌」は日本の漬物文化と結びついた言葉で、学術的な分類名ではありません。

解説動画: ぬか床の乳酸菌が糖を乳酸に変え、雑菌を抑えるまで/ゆっくり生物チャンネル【ゆっくり解説】

ぬか床で乳酸菌がしていること: 米ぬかには糖質やミネラルが含まれていて、そこに塩水を加えて発酵させると乳酸菌と酵母が住みつく。このうち乳酸菌は野菜の糖分を分解して乳酸を出す—— これで酸っぱくなり、同時に雑菌が寄りつかなくなると説明している。香りのほうは酵母がエステルという成分を作る担当で、酸味と香りで役割が分かれている。

酸が雑菌を抑えるしくみ: 乳酸菌は野菜の表面やぬか床にもともといる菌で、糖から作る乳酸が漬物の酸っぱさの正体だとしている。乳酸が増えるとpHが下がり、病原菌が生きられない環境になる—— 動画はこれを菌が自分で用意する天然の防腐剤、小さな防衛システムと呼び、漬物の安全性を守っているものだと位置づけている。

塩加減の目安: 塩は微生物を選別するフィルターでもあると捉えている。塩分が上がると他の菌は死ぬが乳酸菌は生き残るため、結果として乳酸菌が優位に立つ。大根や白菜なら野菜の重さの2〜3%が乳酸菌の動きやすい濃度で、塩分が少なすぎると腐敗菌のほうが一気に増える。寒い地方は発酵のスピードが遅く、そのぶん乳酸菌もじっくり働いて深い味になるとし、塩の量と気温の兼ね合いが味を決めるとまとめている。

かき混ぜを忘れるとどうなるか: ぬか床には乳酸菌と酵母のほかに腐敗菌も同時に住んでいる。かき混ぜが足りなかったり温度が高すぎたりすると腐敗菌が勢力を広げ、刺激臭や糸を引く粘りが出る。逆に乳酸菌が増えすぎてもpHが下がりすぎ、他の菌が死んでしまう。発酵は菌どうしが共存している状態だとして、毎日かき混ぜるのは酸素を入れてこの均衡を保つためだと説明している。