酸素(好気と嫌気)
容器と衛生
空気を入れるか、遮断するか
なぜ効くか
酸素を必要とする菌(好気性)と、酸素があると生きられない菌(嫌気性)がいます。容器の形とふたの扱いは、どちらを優位にするかの選択です。
目安
酢酸菌と納豆菌は酸素が必要—— だから口の広い容器で布をかけます。乳酸菌の多くとビフィズス菌は酸素を嫌う—— だから漬物は押し込んで空気を抜きます。糠床は毎日かき混ぜて、表面の好気層と底の嫌気層を均します。
外れたときの症状
納豆を密閉すると発酵しません。漬物の表面が空気に触れ続けると産膜酵母が増えます。酒を空気に触れさせ続けると酢になります。最も注意が要るのは、酸素がなく酸性でもない密閉環境—— ボツリヌス菌が増えうる条件で、自家製の油漬けや真空パックの保存では特に気をつけてください。
解説動画: ぬか床を毎日混ぜるのは空気の状態を入れ替えるため/はやかわ あきよ【 腸活と発酵食の先生 】
なぜ毎日混ぜるのか: 発酵食の講師が、ぬか床を毎日混ぜる理由を空気(酸素)と温度の二つに整理している。ぬか床では乳酸菌・酵母菌・酪酸菌が互いに絡み合って共生していて、どれか一つの菌にだけ都合の良い環境が続くと、その菌ばかりが強くなって他が弱ってしまう。三つがバランスよく活動できる環境を作るための作業が、毎日混ぜることだと説明している。
好気性と嫌気性: 菌は空気を好む好気性と、空気を嫌う(薄いところを好む)嫌気性に大きく分かれる。ぬか床の中の微生物は全部が同じ性質ではないので、空気がたくさんある状態も、薄い状態も、まったくない状態も、どれも必要になる。だから一定の状態に保つのではなく、混ぜて空気のある時間帯とない時間帯を作り替えるのが目的だとしている。
混ぜないとどうなるか: 週に1回や月に1回しか混ぜないと、空気のない状態が続いて特定の菌だけが突出する。例として、酵母菌ばかりが活発になるとアルコール発酵が進み、ぬか床からアルコール臭がしてくることを挙げている。変な匂いがすると腐ったと思って捨ててしまう人がいるが、菌の性質を知っていれば、手入れで対処して長く付き合えるという立場をとっている。