保温のしかた

温度

保温のしかたは、一定の温度を保てるかどうかで結果が決まるので、実際の温度を測れる方法を選びます。

なぜ効くか

適した温度から外れると、菌の育ちも酵素の働きも鈍ります。醸造会社の Oguro らの研究チーム(2019)は麹甘酒の糖化温度を変えて比べ、ブドウ糖は50℃を100%として40℃で66.4%、60℃で91.9%、70℃で76.6%だったと報告しています(実験室の値)。「保温」と書いてあっても温度は機種や使い方で違うので、名前でなく実測で選びます。

目安

静岡大学の学会発表では50〜60℃で作った麹甘酒が官能評価で「好ましい」とされました。アラスカ大学の資料はヨーグルトを約43℃(110°F±5°F)で4〜7時間保つ方法に、容器を湯に浸して入れるオーブン、温めたクーラーボックスや魔法瓶を挙げます。炊飯器ではマルコメ(食品メーカー)のFAQが、ふたを開けたまま保温し、温度計で50〜60℃を確かめるよう案内し、高いときは内釜を外して混ぜるとしています。

外れたときの症状

炊飯器メーカーのパナソニックの解説では、保温は約60〜74℃のものがほとんどで、甘酒の50〜60℃を超えることがあります。ヨーグルトは、115°F(約46℃)を超える牛乳に種を入れると菌が死ぬことがあり、低すぎる保温は育ちを遅らせ、固まる間に動かすと乳清が出やすくなります(アラスカ大学)。最初の1回は温度計を差して実測しておくと、次から再現できます。

出典

  1. 論文・英語 Oguro Y, Nakamura A, Kurahashi A(Hakkaisan Brewery)(2019) Effect of temperature on saccharification and oligosaccharide production efficiency in koji amazake
  2. 論文 鈴木絢子・村上陽子(静岡大学)、日本調理科学会大会 研究発表要旨集(2022) 糖化温度が麹甘酒の糖化および食嗜好性に及ぼす影響
  3. 公的機関・英語 Cascio J(University of Alaska Fairbanks Cooperative Extension Service)(2024) Making Yogurt at Home
  4. 資料 マルコメ(食品メーカーのFAQ) 炊飯器で甘酒を作る場合の温度設定(よくあるご質問)
  5. 資料 パナソニック UP LIFE編集部(監修:Panasonic Cooking @Lab)(2026) 炊飯器の保温温度はどのくらい?温度が設定されている理由を解説

解説動画: 【腸活作り置き#15】決定版「甘酒」の作り方|本当に美味しい甘い分量|ヨーグルトメーカー&炊飯器で比較|2023年最新レシピにアップデート/発酵食大学

二通りの仕込み方: 甘酒の分量は、炊いたご飯1合に乾燥麹200g、水300という割合を決定版として示します。生麹を使うなら水を2〜3割減らす。作り方は二通りで、ヨーグルトメーカーなら58度で8時間。2時間ほどで一度ふたを開け、乾いた部分が残らないよう全体を混ぜます。8時間後には麹がとろけきってとろりとしていました。乾燥米麹は通年手に入りやすいと添えます。

炊飯器なら湯加減: ヨーグルトメーカーが無くても作れます。炊飯器で作るときは、材料を保存袋(ジッパー袋)に入れて口を閉じ、炊飯器に張ったお湯へ沈めます。お湯は熱湯を水で割って作り、60度あたりを狙って測ると57度でした。温度計がなければ、手を入れてお風呂よりはっきり熱いくらいが目安だと言います。袋が浮くなら皿を乗せ、全体が湯をかぶるようにしてから保温に入ります。

途中で湯温を測り直す: 炊飯器で気をつける点は、中のお湯の温度が下がることだと言います。途中で測ってぬるくなっていたら、熱めのお湯を足して60度あたりに戻す。手を入れてお風呂ぐらいのいい湯加減なら、それはもうぬるいという見分け方も示します。温度計があれば確実で、機種によって温度に違いが出ることもあり、難しい要素は残ると認めます。

粒感と香りに出る差: 同じ分量で作った二つを食べ比べます。炊飯器のものは麹の粒感が残り、香りがつんと麹らしい。ヨーグルトメーカーのものは粒が潰れて舌触りがなめらかで、くせがない。甘さはどちらもしっかり出ていました。器具があると上手にできると結んでいます。