酢

基本調味料

酢は、加熱すると酸味が飛んでコクが残る発酵調味料です。原料になった酒の違いが、穀物酢・果実酢という種類の差を生みます。

どんな味?

米酢は穀物のまろやかな酸味、穀物酢はすっきり、バルサミコ酢は熟成による甘みとコク、リンゴ酢は果実の香り。どれも酢酸菌がアルコールを酢酸に変えた発酵調味料です。食品表示上は、穀物・果実・はちみつなどを酢酸発酵させた醸造酢と、酢酸を水で薄めて砂糖などを加える合成酢に分かれ、家庭で使うのはほぼ醸造酢です。醸造酢のうち米・大麦・小麦・コーンなど穀物が原料なら穀物酢、りんご・ぶどう・柿など果実が原料なら果実酢で、黒酢は原料により米黒酢と大麦黒酢に分かれます(農林水産省)。料理番組America's Test Kitchenは、糖分を含む液体を酵母がアルコールに変え、続いて酢酸菌がそのアルコールを酢酸に変える二段階の発酵で酢が造られ、元になった酒の種類がそのまま酢の風味の系統を決めると説明している。管理栄養士まるおかずき氏は、ワインの国フランスではワインビネガー、ビールをよく飲む英独圏ではモルトビネガーが主流になると紹介したうえで、米が原料の酒が中心の日本でも、店頭で一番多く並ぶのは米酢ではなく小麦やとうもろこしなど複数の穀物から造る穀物酢だと指摘し、原材料まで見て選ぶなら表示が「米」だけの純米酢がわかりやすいと勧めている。

使い方

生のまま使うと酸味が立ち、加熱すると酸味が飛んでうま味とコクが残ります。酢の物には生のまま、煮物には加熱して。肉を柔らかくする、魚の生臭さを消す、野菜の色を保つという働きもあります。America's Test Kitchenは、酢1・水1に砂糖と塩少々を合わせて煮立て、薄切りの野菜にかけるとその場で漬かる即席ピクルス液になると紹介している。同番組はまた、卵を茹でる湯に酢を少し加えると水のpHが下がり卵白が早く固まるとしたうえで、茹でる前に卵を酢と水1:1の液に5分ほど浸けておくと、さらに形の整ったポーチドエッグになるという方法も紹介している。

合わせ方

油と合わせるならドレッシング(酢1:油2〜3)が基本比率。砂糖と塩を少し足すと角が取れます。れんこんやごぼうを茹でるとき少量入れると白く仕上がります。

保存

常温の冷暗所で長期保存できます。開封後も腐りませんが、風味は落ちるので半年程度で使い切るのが理想です。無ろ過・非加熱の酢では瓶の中にゼリー状の塊が浮くことがありますが、America's Test Kitchenは、これは発酵中に酢酸菌が作るセルロースの塊「酢の母(マザー)」で、取り除かなくてもそのまま使え、新しい酢を仕込む種としても使えると説明している。

出典

  1. 公的機関 農林水産省 食酢の種類について教えてください。
  2. 動画・英語 America's Test Kitchen Why Vinegar is Your Most Underused Cooking Liquid | What's Eating Dan?
  3. 動画 カラダヨロコブ・管理栄養士まるおかずき 管理栄養士が解説!【正しい調味料の選び方】「お酢」編

解説動画: 原材料と製法で選ぶ酢、米酢を勧める理由/カラダヨロコブ・管理栄養士まるおかずき

酢は酒からできる: 糖分を発酵させるとアルコールになり、そのアルコールをさらに発酵させたものが酢。だからその土地で飲まれている酒と酢は結びついていて、ワインの国はワインビネガー、ビールをよく飲む地域は麦から作るモルトビネガーになる。日本の酒は米なので、日本の酢も米酢という話の運びになっている。

穀物酢を勧めない理由: 売り場でいちばん多い穀物酢は、小麦やとうもろこしなど複数の穀物から作られる。とうもろこしの国内自給率はほぼ0%でほとんどが輸入、小麦も自給率は10%前後で9割近くが海外産。輸入とうもろこしには遺伝子組み換えが混じり、輸入小麦には収穫後に農薬をかけるポストハーベストがあるのが気になるので自分は選ばない、という本人の判断として述べている。国産原料だけの穀物酢もあるが見分けが難しいとも断っている。

米酢の選び方: 勧めているのは米酢で、原材料が「米」だけのものを選ぶ。醸造アルコール入りは避けるのが無難としていて、理由は発酵を早めて早く出荷するためのもので、その原料が分からないから。ただし京都のあっさりした料理に合わせ、あえてアルコールを加える作り手もあると例を挙げ、表示だけで決めつけないよう釘を刺している。

上等なものと普段使い: 有機栽培米だけで作った上等な酢と、米だけで作った手頃な酢を分けて持っていると紹介している。酢水にさらすような下処理にも使うので、普段使い用があると気兼ねなく使えるという理由。品種や作り方をラベルに細かく書いている酢は、作り手のこだわりが読み取れるという見方も示している。