さしすせそ(入れる順番)

基本調味料

さしすせそは、砂糖・塩・酢・醤油・味噌を煮物に加える順番を示す言葉です。

どんな味?

さ=砂糖、し=塩、す=酢、せ=醤油(旧仮名では「せうゆ」)、そ=味噌。煮物で調味料を加える順番の語呂です。砂糖と塩は香りが無く、煮ながら時間をかけて食材にしみ込ませる調味料。酢・醤油・味噌は香りや酸味が持ち味で、火を通しすぎると失われるため後ろに回します。とくに大根やにんじんなどの根菜のように、中まで味を入れたい煮物で使う順番です。

使い方

砂糖を先、塩をあと—— 調味料オタクの主夫えーじ(YouTube)は、砂糖は塩より分子が大きくしみ込みが遅く、塩は浸透圧で食材から水分を出して締めるため、塩を先にすると砂糖が入りにくいと説明します。お茶の水女子大学のチームは学会発表で、20種以上の料理書の煮物で拡散を計算し、調味液が砂糖4〜6%・塩1〜5%なら、ダイコンの塩分はほぼ適度な0.6%前後、砂糖は2〜4%になると示しました。

合わせ方

味噌は火を止める直前に溶き入れる。岩手大学の菅原悦子らは、味噌を水に溶いた液を調べ、80℃にすると検出される香り成分の数が室温の3倍超になり、3分加熱するとその約4割が検出されなくなったと報告しています。旅人タマラー(YouTube)は、醤油は煮込むと香りが飛び最後だけでは染み込みが足りないので、途中と仕上げの二度に分けると話します。

保存

順番はあくまで煮物の話で、炒め物や和え物には当てはまりません。旅人タマラー(YouTube)によると、魚の煮付けは煮立てた調味液に魚を入れて表面に味をつけます。和洋女子大学の畑江敬子らは、じゃがいも・だいこん・こんにゃくの2cm角で、冷める間に味がしみることは見いだせず、保温温度が高いほど食塩が内部へ入ると報告しています。

出典

  1. 論文 金城みなみ・佐藤瑶子・香西みどり(お茶の水女子大学)(2014) 煮物におけるダイコン中のショ糖及び食塩の拡散過程のシミュレーション
  2. 論文 畑江敬子・奥本牧子(和洋女子大学)(2012) 食品の保温温度が食塩の拡散に及ぼす影響
  3. 論文 菅原悦子・保坂由貴子(岩手大学)(2009) 固相マイクロ抽出法を用いた加熱による味噌汁のヘッドスペース成分変化の解析
  4. 動画 調味料オタクの主夫えーじ 【料理のさしすせそ】料理初心者はみて!今さら聞けない調味料の雑学
  5. 動画 旅人タマラー 調味料の順番「さしすせそ」の秘密

解説動画: 科学で暴く調味料!なぜ調味料は「入れる順番」で味が変わるのか?料理の順番は「分子のサイズ」で決まっている?/料理のなぜを科学する【ゆっくり解説】

順番は覚えやすさのためだけではない: 「さしすせそ(砂糖・塩・酢・醤油・味噌)」を、単なる語呂合わせではなく熱・pH・浸透圧が関わる科学的な手順として説明している。全部まとめて入れて煮ると、味が染みず肉も硬くなるという失敗例から入っている。

分子の大きさが理由: 中心にある考え方が調味料の分子サイズの違い。砂糖は分子が大きくしみ込むのが遅く、塩は分子が小さく速く入る。塩を先に入れると食材の水分が抜けて繊維が締まり、あとから砂糖が入る余地がなくなる—— これが順番の根拠になる。

後半の3つは香り: 酢・醤油・味噌は加熱で香りが飛びやすいため後に回す。鍋の中で起きているのは食材と調味料の化学反応であり、順番を無視するのは手順を無視した実験と同じだ、という組み立てになっている。